ホモが好きな女の子を好きになれますか?

タイトルからは想像もできなくらい、テーマ性の強い骨太な物語。ラノベ的な、いわゆる軽いのノリの作品かと思って読み進めると――ガツンと後頭部を殴られたような感覚に陥ってしまう、そんな物語。

この物語の中で扱っているテーマは『性』と『愛』。『LGBT』という難しいテーマーを軸に据えて、それをじっくりと真正面から描いている。

主人公の安藤純は同性愛者――つまりホモ(ゲイ)であり、付き合っている男性(既婚者)がいる。彼と親密になっていく女の子、三浦さんは腐女子で、二人関係が進展していくに連れてその関係は複雑になっていくのだが、その複雑さを誤魔化すことなく書き切っているところにものすごく好感を覚えた。

また、個人的なことを言わせてもらうと文章がものすごく好みで、最初の数行を読んだだけで「ああ、この文章はおもしろいし上手いなあ」と感じさせてくれる。上手いだけでなく、くすりと笑わせる文章も多く、男性器を『ペニス』と書かずに『ちんぽこ』と書いた点は最高に笑ってしまった。他にBL星やマジックミラー号など、きつい内容を和ませる際どい下ネタの数々が、物語に良い意味での彩りを与えていたように思う。

各章のタイトルには伝説の海外バンド『QUEEN』曲名が引かれているのだが、これがバッチリと決まり過ぎている! 物語の内容ともしっかりとリンクしており、お見事の一言。

テーマ性もあり、文章も巧みで、物語を引き立てる小道具や演出もハマっている素晴らしい一作。ぜひ、多くの人に読んでもらいたいと思う!!

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