密かに迫る人類の危機。6人の天才少年少女はどんなキセキを描くのか。

 人工知能によって全てが管理されている世界。人々は高度に進化した仮想世界へ浸りきり、安逸を貪っていた。思考停止にも似たその状態が、自らの滅びを呼び込んだことにも気づかずに。
 自分達を取り巻く世界に違和感を覚えたふたりの天才少年が、違和感の正体を探ろうと動き出す。

 一つのストーリーを二つの視点で綴る、変わった構成の物語です。
 仮想現実を作り上げた博士、研究チームを組む個性豊かな子供たちの関係。世界を構築するシステム。そして、人工知能が導こうとする、人類の未来。それら全てが、前半と後半でがらりと姿を変えるのです。
 時と霧の軌跡が重なったときに見えてくるのは、驚きの真実。思わぬ人物が別の顔を見せ、恐ろしい陰謀が姿を現す。物語は膨らみ、加速し、激震する。そして、全ての謎が明かされた後、彼らが選択する『未来』とは?
 天才集団とはいえ、やはり彼らは子供です。子供ならではの無邪気さ生真面目さ、時に無鉄砲さを発揮しながら、手を取り合い懸命に謎に立ち向かう。彼らの勇姿を見守ってください。
 色々と考えさせられる作品です。そして、読んだ後にはきっと……

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