高密度かつ叙情的な旅……『銀河鉄道』愛好家は、反則級の結末に号泣しろ!

『銀河鉄道の夜』は、宮沢賢治作品の中でも取り分けポピュラリティが高く、またそれに正比例して、数多くの愛好家が存在する物語でしょう。

それで、この『未完の書』というお話なのですが、まず3万2000字という分量で、よくここまで高密度に練り上げられているなあと感嘆させられました。
周到に用意された伏線とミステリ仕立ての展開に加え、いかにもゲーム的な戦闘描写やキャラ同士の掛け合い会話など、エンタメの基本要素がぎっちり詰め込まれ、それでいて全体に上質な叙情性が漂っています。
当然『銀河鉄道の夜』に対する深いリスペクトも感ぜられ、たぶんそれゆえ原作に愛着のある人ほど、読了時に暖かい感動を覚えるのではないでしょうか。

……というかホント、反則的なラストシーンは卑怯の一言(褒め言葉)。
読んでて思わずヘンな声出そうになりました(涙)。

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