異世界交流=異文化交流

 各エピソードに登場する異世界の訪問者たちが、ことごとく可笑しすぎます。愉快(?)な訪問者たちと、ストイックな生真面目さで向かい合う主人公が、これまた可笑しすぎて、ついつい読む手が止まりません。

 話が進むにつれて、主人公と異世界の住人達との滑稽なやり取りの中に、不思議と「リアル」を感じるようになります。両者の考え方の違い、いいかげんな情報から生まれる誤解、違う価値観を持つ者だからこそ気が付く真理…。これは、現実世界での異文化交流の現場そのものではないか。考え方の違う人間同士が出会った現場そのものではないか。そう思い至ると、この作品のキャラ達にさらなる親近感を覚えずにはいられません。

 可笑しさ全開のエピソードの中にも、さりげない伏線が織り込まれ、終盤に向けてリアリティに富んだ深い展開が用意されている点には、ただただ「お見事!」と嘆息してしまいました。

その他のおすすめレビュー

弦巻耀さんの他のおすすめレビュー203