愛し続けるという呪い

短編が好きなんですよ。
短編は、短い物語の中に登場人物達の思想や生き方が詰まっていて、読んでいてすっと頭に入るんです。気軽に読めますしね。
本作における『彼』は君という呼称を幾度となく連呼します、もういない彼女に執着するかのように。一見して淡白な語り口調であっても、その裏に見て取れるのは『君』に対する想いの深さ。何処にも届かず何処にも伝わらない、そんな想いの深さがありありと伝わってくるのです。
これを悲恋と言わずに、何が悲恋か。
何処にも届かず何処にも伝わらず、けれどそこに確かに存在し続けている
そんな想いを是非とも一読してみては?

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