いくつかのバグを経て、最後にたどり着いたたったひとつの解。

「冷たい方程式」のキモは言うまでもなく、一切の感情を挟む余地のない圧倒的な宇宙、美しいまでに圧倒的な数式であるわけですが、この作品ではそこにいくつかの「バグ」が発生します。

しかしそれもまた、宇宙という自然の中における自然な出来事であり、人の情動や愛と言った不確定要素を含んだ式はしかし、美しい解を提示する。
それは人の心もまた、宇宙の一部であるという作者のテーゼを感じるようでもあります。


性的な表現などもありつつ、そうしたひとつひとつを無駄にすることなく全て、たったひとつの解へと結びつく美しい構成。

「方程式もの」としてあまりにも秀逸な作品です。必読。

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