面白い物語はここにあった!

とうとう読み終えてしまいました。
もっともっと読みたくなる物語です。

主人公は水無月町という田舎町に住む、中学二年生さつき。彼女の家は町の御三家で有名な家柄です。しかし、さつきはどれをとっても普通の女の子。これと言った特徴もなければ、性格も内向的で活発な性格でもないのです。
物語はさつきの家に伝わる伝承が実現するところから始まります。大昔の伝承でしたので、さつきは勿論、両親兄弟だれも信じてはいませんでした。ですが祖父と祖母はしっかり伝承を守り、受け継いでいた事が救いといえるでしょう。
ストーリーについては冒頭部分だけを書かせて頂きました。それ以降の展開はミスリードを含め沢山の面白みがあるのでネタバレを考慮し、ここまでとさせてもらいます。
引き込まれる世界観に圧倒されながらも、読み進める楽しさを味わって下さい。


ここからは作品の特徴と言いますか、私が注目した感想です。

まずは田舎町を題材にした世界観の構成です。人口が少なく町民誰もが顔馴染みの世界。この面白さは話しの流れで登場した人物も、友達のお父さんやお母さんだったりします。逆に友達の両親が自然と登場したりします。例を挙げるのならば交番の巡査。彼は剣道の師範代を兼任しており、人物象や人間関係も解かり易く読み進める事ができます。更に小さな集落ならではの人間関係の深さや交流が物語を自然に進行させ、日常をリアルに想像させます。

次に入り組んだ人間関係の中にドラマが生み出されます。ギャグ、ホラー、サスペンス、ミステリー、アクションなどの様々のジャンルが織り成すストーリー展開は神がかりです。洗練された文章は作者様の力量を見せ付けられます。さらに作りこまれた登場人物達。設定や背景はプロ顔負けの出来栄えである事は誰が読んでも理解できるでしょう。一体、何をすればこんなに素晴らしい作品がかけるのか。悪魔に魂を売っても書けないでしょう。もはや天才としか私は言えません。

そして、物語の最後が最高に面白い引き方をします。
いつか続編があったらいいなっと思わせる最後。完璧でした。

ちなみに私は涙脆い性分でちょろい感動でも泣いてしまいます。作者様の数々の名作でも必ず泣かせて頂きましたが、今回の作品では珍しく涙する事はありませんでした。アクション要素とホラー要素が他の作品に比べて多かったからかもしれません。一番涙腺が熱くなったシーンは神父さんの過去話が明らかになった時でした。話が展開するにつれて、どうなる?どうなる?と好奇心が最高潮までいっていたので、先を読み進めるのに夢中になり過ぎていた感があったように思います。息をつく暇もなく「よかったー」という安堵感が先行し、感動する暇がなかったように感じました。それだけ緊迫感や臨場感があったと言えますね。


ちなみに私のお気に入りキャラは清兵衛、メッシュ・メイ。そして、さつきと若君です!
清兵衛は理想のお父さんです。のほほんと飄々としていると思いきや頼れる立派な大人。メッシュは過去と対峙し苦悩を乗り越えようとする人間性。そして勇気を貰いました。
さつきは優しさ。人間として忘れてはならない大切な想いが痛いほど伝わります。

若君は言うまでもないですね。パーフェクトです。完璧な存在です。天然で可愛いくて素直なところまで備わっています。まさに超人。


嗚呼、いつまででも感想を述べられる作品ってすごいですね。
関川二尋さんの作品について永遠に語れてしまいそうです。奥が深く、様々な妄想が生まれてしまう素敵な物語。本当にありがとうございます。
 
私はこんなにも面白い作品達に出会えて幸せです。

その他のおすすめレビュー

ゆうけんさんの他のおすすめレビュー225