エピローグ ~西条紫陽、精進いたします~

「ふぅ……思ったよりも、長くなってしまいましたね」

 机の上で日誌を閉じて一息。意外と濃厚な出会いをしていたみたいです。

 思い返すことは、大事ですね。

「むぅん……あ、紫陽さん。おはようだよね~」

「おはようございます。瑠璃は今日はお休みですか?」

「ううん。夕方にお仕事なんだよね」

「そうでしたか。がんばってくださいね」

「もちろん。ルーにお任せだよね! ……でも、ちょっと飲み物~」

「ふふっ」

 わたくしが入った時は1人でしたが、半年で少し賑やかになりましたね。

「うぅ……疲れた。ただいま帰りました~」

 どうやら、未来もオーディションが終わって帰ってきたようです。

「おかえりなさい」

「未来ちゃんおかえりなさい」

「うえっ!? し、紫陽さん! た、ただいまです!」

「オーディションはいかがでしたか?」

「それが、選考が思ったよりかかりそうだから、予定では今日中に発表だったのに、郵送発表になったんですよ。未だに心臓バクバクです」

「それは、楽しみは後にとっておくと考えればよいのではないですか」

「わたしには難しいですよ~。あ、彩音さん!」

「ほいほい~。何?」

 さて、日誌を閉まってわたくしは帰るといたしましょう。今日は予定していたことも終わりましたしね。

 もしくは早苗のレッスンを覗いていっても良いですし。

「彩音。わたくしは今日はここで」

「はーい、またあしたね」

「はい。未来もまた」

「は、はい! お疲れ様でした」

 そう固くならないでもよろしいではないですか……と、言っても仕方ないでしょう。あの日のでしゃばりがこれにつながってしまっているようですし、ゆっくりと慣れていかなければ。

 日誌をしまおうとした時に、その表紙に目がいきます。

「…………少々、無機質ですね。そういえば」

 わたくし、少し馬鹿し、日誌を衣装チェンジして、改めて本棚にしまわせていただきました。

「瑠璃。がんばってくださいね」

「紫陽さんおつかれさま。がんばるよね!」

 努力家の未来に少し癖はありますが実力のある瑠璃。早苗も頑固ではありますが、育てばとても良くなりそうです。

 同じ事務所でも、わたくしの夢にとってのライバルになり得る相手がいっぱいおりますね。

 ですが、あの時夢に悩んでいて、夢を語ってきたからこそ、わたくしはいえます。

 夢は叶えるものだと。


 ――西条紫陽、夢を叶えるため精進いたしましょう。

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アイドル☆日誌~HappyLifeProject~ Yuyu*/柚ゆっき @yowabi_iroha

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