居合一閃の真剣勝負

志賀直哉の『城の崎にて』などが好きな身としては、「短編はラクに評価されて狡い」という偏見は誤りだと知らしめなくてはいけない。

数千字から二、三万字ほどの限られた字数に、あるひとつの世界を凝縮するのは、それだけでも立派な技術だからだ。

一方で、無際限に世界を拡充し、ある真実を詳らかにしていく長編を書く技術も、畏敬している。

短編集を作る案はもっともだと思うし、カクヨムの短編の質が今後も高い水準で維持されることを願う。短編集の書籍化はなんとも夢のある話だ。読者としても、様々な趣向の小説を、数百円で味わえるのだから、これほどに良い話はあるまい。

同時に、カクヨム運営は短編・長編(判断は作者次第)でランキングを区分するなど、住み分けをより進めていくことが望ましいとも思われる。

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