心を震わせる物語がお上手ですね。

この作者の「異国の少女A」という作品を読んだ後で、このブラッドラインを読みました。
閲覧者の皆さんは、是非この作品を読んでみてください。
目次を眺めるだけでは全く予想できないストーリーです。それだけでなく、最後の章まで行き着かないと全貌が分かりません。各章の登場人物がどう繋がっていくのかさえ途中段階では見通せません。
ですが、最後の章で、綺麗に収斂します。殺人の真相は、途中までに読者が予想する通りですが、推理小説ではないので、それは些末な事です。
私は、最後の章を読み進めるうちに眼が潤んできました。歳を取り涙腺が緩くなっているせいもありますが。
でも、最後の章だけを読もうなんて、邪な考えは抱かないでください。台無しになりますから。
「異国の少女A」もそうでしたが、正直に言って、読後の気分は晴れません。そんなに世界は単純ではないですから。でも、本作品は、清々しい気分も同時に味合わせてくれます。

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