血塗られたオフ会。次に襲われる『ベリー』は誰?

舞台は長野県の山の中にあるペンション。SNSを通じて親睦を深めたベリー好き達の、初めての『ミックスベリー』オフ会が開催された。
だが、メンバーの自己紹介すら始まらぬうちに、第一の殺人が!
そのうえ唯一の通行ルートである吊り橋が落とされ、山道は土砂崩れで通れず警察も来られないという。
閉鎖された空間で猜疑心と恐怖を抱える参加者たちは、自身の安全のためにハンドルネームを伏せたまま過ごすことを決めた。が、そんな彼らを嘲笑うかのように、次なる犯行が……

この、ハンドルネームがわからないという状況が、物語を複雑にしている。もう誰も彼もが怪しく見えるし、何もかもが伏線に思える。チャットルームでの会話や各ベリーの独白にもヒントがありそうだし、ペンションでの言動にも小さな違和感が見え隠れして、あれこれ推理しながら読み進められる。また、十数人もの登場人物の個性や背景もしっかり書き込まれ、読み応え満点。
そして、最後に明かされる真相は………もう、脱帽もの。
作者様天才か! と唸りました。とても悲しく陰惨な事件で様々に感情が揺さぶられましたが、ラストは前向きで読後感も良かった。
謎解きが苦手な人でも、要所要所でいい感じにまとめが入るので問題なく読めるはず。
そして推理好きな方は、ぜひメモのご準備を。
私もメモとペンを用意しましたが、物語に引き込まれすぎてメモを取る間もなく読み終えました。本当に面白いです!

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