孤独なひとと幽霊とが、許された範囲で少しずつ身を寄せた先にあるものは

どこか遠慮をしながら保育園の事務職として働く主人公と、その保育園に住まう園児の幽霊との関係を描いたお話です。

独身女性の主人公は、職場が保育園であるものの、子供が苦手。何かに遠慮をするように、日々、慎ましくひとり淡々と仕事を進めます。
そんな彼女の前に、いじましいほど物分かりの良い児童の幽霊が現れます。互いに距離を取りつつ、許されたささやかな行為を積み重ねる2人。その関係は、時を経て徐々に変わってゆきます。
互いの隙間を少しずつ埋めつつ、ものがたりの最後に2人がたどり着いた場所とはーー。


しっとりとして、物悲しげな語り口。丁寧にエピソードを積み重ねて2人の関係を描く場面の心地よさ。そして、ものがたりの結末の解釈を、読む側に委ねる終わり方。良いですね。

いろいろな方に読んで頂いて、ああだこうだと話してみたくなる余韻の残るお話でした。
ちなみに私はといえば、このお話はホラーですとか、ハッピーですとかではなくて、仕方ねー奴等の仕方ねー話と感じました。ふざけんなよ物凄く面白かったです。

皆様も是非ご一読を。

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