浮帽子

作者 坂水

27

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★★★ Excellent!!!

主人公の苦悩と、お化けの苦悩。
「本物」ではないという葛藤が、二人の距離を縮めて、成長させていきます。

最後。ゆうが出てきてくれて、主人公も幸せと言ってくれた。
僕はそれで良いと思います。
幸せかどうかは、本人たちが決めることですからね。

素敵で不思議な物語をありがとうございます。


にぎた

★★★ Excellent!!!

どこか遠慮をしながら保育園の事務職として働く主人公と、その保育園に住まう園児の幽霊との関係を描いたお話です。

独身女性の主人公は、職場が保育園であるものの、子供が苦手。何かに遠慮をするように、日々、慎ましくひとり淡々と仕事を進めます。
そんな彼女の前に、いじましいほど物分かりの良い児童の幽霊が現れます。互いに距離を取りつつ、許されたささやかな行為を積み重ねる2人。その関係は、時を経て徐々に変わってゆきます。
互いの隙間を少しずつ埋めつつ、ものがたりの最後に2人がたどり着いた場所とはーー。


しっとりとして、物悲しげな語り口。丁寧にエピソードを積み重ねて2人の関係を描く場面の心地よさ。そして、ものがたりの結末の解釈を、読む側に委ねる終わり方。良いですね。

いろいろな方に読んで頂いて、ああだこうだと話してみたくなる余韻の残るお話でした。
ちなみに私はといえば、このお話はホラーですとか、ハッピーですとかではなくて、仕方ねー奴等の仕方ねー話と感じました。ふざけんなよ物凄く面白かったです。

皆様も是非ご一読を。

★★★ Excellent!!!

人生につまずき、新しい仕事も周囲にもあまり馴染めないまま、暗澹な日々を送る主人公にそっと差し伸ばされた小さな手。
自分にしか見えない、不思議な相手と少しずつ心の距離を縮め、悲しみや苦しみを乗り越えて成長していく二人の姿が、移りゆく季節とともに丁寧に描かれています。
人生において、何が幸せで何が不幸なのかは分かりません。ですが、二人の過ごした時間は幸福そのもので、互いに相手を思いやるその絆は、本物の家族以上です。
心温まる、とてもいい作品でした。

★★★ Excellent!!!

 何よりまずこの方の文章には惹きつけられるものがあります。美しい比喩を巧みに使って登場人物たちの心情を美しく描き出す技量には毎回感嘆とさせられていました。
 本作のジャンルはホラーとなっておりますが、親子とは何かということについて考えさせてくれる素晴らしい作品でした。
 世の中には様々な形の家族があります。
 血がつながっていなかったり。両親が違っていたり。
 でももし、自分が愛する子がこの世のものでないとしたら――。
 作者さまはラストについてハッピーエンドがどうか分からないとコメントされていますが、これも1つの母と娘の在り方ではないかと思いました。