大正浪漫パンク。皇都を守護する軍人とかんなぎの艶やかな恋。

架空の日本を想定した、大正浪漫アクション活劇。

元禄218年、なんていう暦が普通に出て来るので、さり気なく別世界っぽい情報を伝える手管もこなれたものです。

人里に現れる魔物を退治して回る軍隊と、魔物を祓う『かんなぎ』の共同戦線を描きつつ、そこで出会った一人の軍人と、若きかんなぎの淡い恋路を、艶やかに綴っています。

かんなぎでありながら実戦能力に欠け、無能扱いされるヒロイン倖奈ちゃんが、小さくておっちょこちょいで可愛いです。頻繁に目を瞬かせるのは癖なのでしょう。せめて大人に見られようとして服装に気を使うところなんて、あーこれ角川ルビー文庫とかで出せる感じの和風ファンタジーだわーと痛感。

世間では無能扱いですが、魔除けに効くらしい花を咲かせる不思議な力を持っているので、いずれはその才覚を見出されて、活躍するようになるのだと思います。
劣等生だけど実はすごい、というパターンですね。さす倖!

そんな彼女の導き手である軍人・柳津史琉さんは実力主義の無骨な人格ですが、二人の付かず離れずなやりとりも微笑ましいです。

レトロな大正浪漫の風情、こと服飾に関しては入念に取材されており、ディテールの細かさに舌を巻きました。
女性読者におすすめの小説です。

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