概要
僕は彼女を『花園の君』と密かに呼んで、静かに焦がれていた。
文学部に属しながらも、わけあって園芸学部の温室の管理を手伝っている僕は、毎週金曜日に必ず花を見に訪れる彼女に、密かに恋心を抱いていた。
関連する短編の
「きっと明日には咲くはずの」
(https://kakuyomu.jp/works/1177354054881274736)を公開しました!
よければ併せてお楽しみください。
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心の口を閉ざして、黙って目の前のものを。
「穏やかに、静かに心の口を閉ざして、黙って目の前のものを見つめることは、本当はとっても難しいことなんだと、わたしは思います」
この一文は、ただ花に対して言った言葉ではなく、あらゆるもの、あらゆる生きるものに対する言葉のようです。
何かを見る時。人はそれに説明を求めてしまいます。
例えば美術館で、作品よりも先に説明文を読んでしまうような。
しかし、それよりもまずその作品と対峙して心に映して、ただ静かに自分の中に湧き上がってくるものにじっと耳を傾けているほうがよほど知ることが出来るのだと思えるのです。
それが後になって読んだ解説文とは違った受け取り方であったとしても……。どんなことも人それぞ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この恋心に名前をつけるなら?
名前を知ることをテーマにした恋愛小説でした。一万字程度ですっきりと読めて、非常に良い作品だと思います。
名前を知らないからこそ美しいという側面。名前を知ってしまうことで生まれる変化。観測によって対象が変化するなんてどこかの物理学の話を思い浮かべてしまうのは自分にロマンが足りないからでしょうか。読む時には名前というものの意義について少し考えながら読むのも良いかもしれません。
青年の恋心と少女の不器用さと。小さくて穏やかな世界に、幾ばくかの儚さを匂わせる綺麗な作品でした。
まあそれはそれとしてだ。
自分の手の中にあったものがすり抜けていく美咲ちゃんの曇り顔が! まるで瞼の裏に…続きを読む