概要
人間は皆、「普通」の皮をかぶったモンスターだ
被害者の一部を持ち帰る異常殺人犯に妹を殺された運転手。彼は裏の仕事で何度か手を組んだ殺し屋に犯人殺害を依頼し、二人で故郷のヘルズ・キッチンへ向かう。キャラクターと会話を中心にしたノワール的な雰囲気を目指しました。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!さて、極上のノワールをいただこうか。
殺伐とした、あるいは異常な世界観を造ろうとするとき、常軌を逸した言動やグロ表現を多用して演出するものと、文章力を主軸として成り立つものがあると思う。
この作品は後者でしょう。
無駄のない文章、淡々としているが決して浅くない心理描写にはとても惹き込まれたし、登場人物達が自らの過去を語る経緯も滑らかで、読んでいて負担がなかったです。作者の文章力の賜物ですね。
実在する洋画や洋楽、洋ドラマがあちこちに散りばめられて作品にリアリティーを与えているのですが、それらを用いた比喩表現があまりに的確で「ここでそれを持ってきたか、確かにそうだ!」とシリアスな場面なのに笑ってしまいました。(笑)
元ネタの分か…続きを読む - ★ Good!映画のワンシーンのようなストーリー
親族を殺された主人公が、知己の殺し屋に復讐を依頼するという、アメリカ映画の一部をそのまま小説に起こしたような話である。
この手の話にしては非常に珍しいのが、伏線の回収がほとんどないところである。なんというか、淡々と起きたことがそのまま書いてあるようなストーリーで、どちらかというと形式は日記やエッセイに近い。娯楽小説ということであれば、もう少し終盤までに積み上げた行動や食事、売春などが結末につながるようにしても良いのではないか。
もしくは何かしら主人公や殺し屋の考えの変化によって、当初の意図どおり行かなくなった(たとえば、やろうとしていることをやめる、計画が狂う)などの展開があるほうが良いよ…続きを読む