これぞ小説の醍醐味という再読必至の仕掛けがあなたを待ち受ける。

 ストックホルム症候群――。
 精神医学用語の一つで、誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者が、犯人と長時間過ごすことで、犯人に対して過度の同情や好意等を抱くことをいう。

 これをどう料理して作品に生かすと期待しつつ読み進めるが……。
 おそらく誰もが抱く先入観を逆手に取った展開に、思わず「え?」と声を出す。そして最後まで読んだ後に、今度は展開を分かった上で目を通す。ミステリーで言えば叙述トリックなのだろうか、素直にうまいと思いました。

 カクヨムには秀逸な短編が揃っていますが、この作品もその一つだと思います。ものの五分もあれば読み切れるので、皆さんも是非いかがでしょうか。

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