ひっそりと紡がれる暗く幻想的な世界を見よ。

魔法が飛び交うだとかそういった派手な要素はないが、だからこそファンタジーでありながら妙に地に足のついたリアリティを感じさせる世界観。少年や少女の息遣いが、文章を通じて伝わってくるようでもある。

薄っすらと流れる土や鉄、血の気配は暗い雰囲気と退廃的な喧騒を想起させるが、その一方で並行世界のように展開される表題の「屋根裏部屋の小説家」には、ひっそりと静かな闇を感じる。
これから何が起こるのか。手がかりは少しずつ提示されつつあるのかもしれないが、予測できないうねりの気配が闇となって、ページを先に進める手を掴んで離さない。

今後の更新も楽しみな作品である。