彼らには何かが足りない――だからこそ、その欠落を――埋め合わせるために――或る情熱に、憑りつかれている。暴力的な関係を――取り結ぶ、ということに――そして、惨たらしい悔悛を――忘却の彼方に――置き去りにする、ということに。したがって、この情熱は――横溢することになる。――抜け落ちたものを、埋めようと躍起になって――破滅し、やがてもう――取り戻すことは、不可能になる。
精進していきます。
アイヌ語で白く濁った川のことを「ヌブルベツ」と言うらしい。「喪失」とは、いつまでも鮮やかな色ではなく、徐々に時間の膜に蔽われて、ヌブルベツの風情を醸すのかもしれない。「蟻の枝」「蝉の死骸の日記…続きを読む
この四篇の物語、特に表題にして最後を飾る「ミミのしっぽ」は、一見して何の繋がりも無いように思われますが、そこで描き出そうとしているものはある種共通した、人間の本質なのだろうと思います。個人的には…続きを読む
正直私は、純文学? なにそれおいしいの? って人間です。この作品を読み始めたのも、なんだか可愛いタイトルだったのと、短編集なので、のんびり読めばいいかな、という軽い気持ちで読み始めたのです。実は…続きを読む
『蟻の枝』生命に対して人は本来無力であることを、まだ知らない子どもの、無責任な残酷さ。『蝉の死骸の日記』淡々とつづられる記録の最後の一文の意味は。次の話と併せて読めば、秀逸。『これはひどい』演じら…続きを読む
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