第6話 【ファミコン】ドラゴンクエストで勇者一人旅

 RPGというものを初めて知ったのは、PC88だったけれども、ファミコンで経験したのは、


『ドラゴンクエスト(初代)』


 こちらが最初でした。当時はスクウェアと分離していた、エニックスのゲーム。

 今や錚々たる顔ぶれで作られ、ナンバリングも10まで行ってしまっているドラクエですが、当時は他のファミコンソフトと変わらず、ドット絵の素朴なソフトでした。


 とはいえ、コントローラーの使いやすさ、極限まで簡潔にしたその表現(「じゅもん」、「たたかう」、「どうぐ」など)は、当時の私には非常に分かりやすく。また、ストーリーも「あれそれにいけ」と割と分かりやすかったため、かなり途中まで頑張った覚えがあります。


 それと、何はともあれ、あの音楽!!!

 オープニング音楽のファンファーレとともに、ドラゴンクエストのロゴがズズズーッと降りてくる様は、当時のファミコンプレイヤーには圧巻の演出でした。ほんとにびっくりした。


 そして流れ続ける音楽。この勇ましい旋律だけで、当時の他のゲームとは一線を画していたように確信したほどです。すぎやまこういち先生最高でございます!!


 さて、ゲームに入ると、いきなり王様の前。(地味に場内の曲も旋律が悲しげで良い)なんだか面白いドット絵の王様は、


「おお ゆー! ゆうしゃロトの ちをひくものよ!」

「え? ロトってだれ?」

「そのむかし ゆうしゃロトが カミから ひかりのたまをさずかり

まものたちをふうじこめたという」

「あ、そういう人なのね」

「しかし りゅうおうがあらわれて云々」

「そいつ倒せばいいのかな?」

「りゅうおうをたおし、ひかりのたまをとりかえしてくれ」

「へいへい」


 などと生返事で返答していると、なんとその辺に放置されている宝箱をくれると言うのです。王様太っ腹!!


「やったー!! お金だお金……ん? 鍵?」


 謎の鍵が手に入りました。そして、この小部屋は鍵がないと開かない。


「……王様、いちいち部屋を施錠してるん?」


 なんとも不思議な顔になりつつ、門番の兵士に聞くと、なんでも鍵を使えとのこと。ここで、「とびら」というコマンドを選択すると、パッと扉が開通します。この部屋で、基本的な扉の開け方を学ぶことができるわけですねー。これはなかなか面白かった。


 扉を出て城下町へ行くと、もっとたくさんの兵士や町人たちがウヨウヨいる! この町人たちと話すだけでもすごく楽しい。王様の娘さんがさらわれたんだ、大変だなあと思いつつ、装備を適当に整えて外に繰り出します。


「ふむふむ、まずは戦うのかな。うお、スライム!!」


 ぴょこんと出てきた青いモンスターにぴこぴこひのきのぼうを食らわせてみたりして。序盤では割と簡単に勝ち、調子に乗って遠いところに繰り出すも、今度は滅法強い敵が出てきて、あっさり殺されてしまう勇者。


「あれ、死んじゃった〜」

「おお、ゆうしゃ ゆー よ! しんでしまうとは なさけない!」


 死んじゃうと、王様の前まで逆戻り。すると、王様が大変お怒りで、なんだか申し訳なくなったりするのです。ここでようやく説明書を見返して、レベルを上げて強くしようという概念があることに気づきました。

 良い子は最初から読もうね!


 レベル上げという作業をこなすと、これが案外楽しいんですねー。最初はポンポン上がって、スライムごときでは簡単に死ななくなった。この、成長すれば強くなれるという感覚は、よくできてるなあと思ったものです。


 そこからは俄然楽しくなってくるわけで。城下町ラダトームにてもっと町民の話を聞いたり、装備を整えたりするのは、なんだかこの世界に生きて入り込んだようです。しかも、主人公はちっとも喋らないから、なんとなく自分を投影できる。


 当時から私は戦うことよりも、こういった町民たちの「生きている」感覚が好きで、町民がいたら全員に話しかけるようにしてまして、それは今でも変わりません。昨今の最新ゲームでは人が多すぎて全員にテキストが用意されないことも多いけれど、私はちょっと残念だなあとも思ったりします。


 確か、姫を助ける手前まで頑張った記憶があります。そして当時のお約束、何の気なしに宿に泊まると、


「ゆうべはおたのしみでしたね」


 と言われるのです。本気で「?」な顔になりました。今思えば、これって高度な大人のジョークだったんですなあ…! こういうちょっとHなものをちょこちょこ差し込んでくるのは、ドラクエの定番ですよね。ぱふぱふしかり。

 良いと思います。(鼻血)


 しかし、しかしですよ。

 盛り上がったこのゲームも、ついに終わりの時が。いや、クリアできてないんです。というのも、


「ぎゃああああああ!! 復活の呪文間違えたああああああああ!!!」


 当時はセーブデータなどはなく、王様から聞かされる「復活の呪文」をメモして再度打ち込むことが必要でした。そのためにわざわざ城に帰らなきゃならなかったのも

超めんどくさかったのですが、帰った挙句にこれですよ。

 別名「ドラクエの洗礼」。


 結局、それより前のデータはかなり前のもので、一気にやる気が削がれてしまいお蔵入りに。今だったら最後までできるかなあ。

 嗚呼、竜王よ。いつになったら君に会えるのだろうか。

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