俺と青春のPC88とファミコン時代

第1話 【MZ-700】はじまりは野球拳★

　うちの父は、とにかく新しいもの大好きすぎて、色々当時のパソコンを買い揃えていました。最初は、正しくはPC88ではありません。MZ-700というものが実は最初のパソコンです。ですが、間違い無く、私にとっては、それこそが我が初めてのゲームとなったのでございます。

　そして初めてのエロゲーにもなりました。

　業が深いな、父よ。

　『ハドソンHuPACK・野球拳』

　というものだったらしいです。当時は、ゲームの意向がよくわかってませんでした。ただ、女の子らしきものが服を着て立っており、それに対してじゃんけんするという非常に簡単なもの。で、勝ったら服を脱いでいく。

　そんな体を張ってくれる女の子の名前はめぐみちゃん。

　線と丸と斜めスラッシュ、三角で表現された豊満な乳、そして体。記号の集合体で作られた苦肉の策。今の私なら堂々と言える、こんなんで欲情できるのかと問いたい。問い詰めたい。しかし、当時の男性にとって、最新のハイテク機械に表示される女子!!　それがなんと脱ぐ!!　となれば、購入待ったなしなのでありましょう。

　分かる。(分かる)

　当時の私は純粋にゲームとして楽しんでいました。いやー、やっぱり勝利していくことによって明確に脱いでいくという分かりやすい展開は、シンプルで良いものでした。

　――アウト! セーフ!! ヨヨイノヨイ!!

「よし勝った!!　あと１枚!!」

　見れば、めぐみちゃんの服は後一枚! いつの間にかブラジャーも脱ぎ去り、豊満なバストが……と言っても、所詮記号の集合体に過ぎないため、むしろ健全過ぎる感じのあっさりバストが見えているではありませんか。

　これは燃えようというモノ…!!

　さあいくぞ、最後の一枚!! そのスキャンティを我が手にッ…!!!

　――アウト! セーフ!! ヨヨイノヨイ!!

「よし勝ったぁぁぁっしゃあああああああああああああ!!」

　よしきたー!!! これでその下の下着を取ればクリアだ!

　ついでに、自分も同性なんであんまり嬉しくないが、どうせなんでお前のその記号的表現力で、下がどーなってるのか見せてみろッ!!

　といったことを当時思ったかどうかはほとんど覚えてないのですが、なんにせよ勝ちました。野球拳の黄金ルールに基づき、宇宙的意思によってめぐみちゃんは全裸となるはずッ!! 期待に胸が膨らみますね!!

「さあ来――」

　一瞬だけ、全裸の彼女が映ったような気がして――

『キャー! はやくあっちへいって!!』

「――は?」

　次の瞬間浮かんだのは、こんな文字……

　実に一瞬で、彼女のご褒美画像は終わりを告げました。

「ふっ――ふざけんなあああああっ!?」

　実は意外と難易度が高いため、数時間を費やした私の悲鳴は部屋に響き――

　そんなこんなで。

　MZ-700は、パソコンでもゲームができる、という新しい価値観を私に教えてくれ、また、ちょいとHなゲームが世の中にあるということも教えてくれたのです。

　次世代機のPC88と共に歩む、ちょっと早い青春は、こうしてスタートを切ったのでした。