第4話 【PC88】イースで目指せ!! 英雄伝説

 さて、ここでファルコムの金字塔とも呼べる一品を。


 『イース』


 今やPCゲームとして続編が数多く作られる名作。そんなイースの最初は、PC88でした。ちなみに音楽はかなり秀逸!! なのですが、当時の父の実機にはなぜか音楽を鳴らすものが入っていなかったため、これに限らず全てのゲームが無音となってしまい、その良さはリアルタイムに感じることはできませんでした。無念……!!


 しかし、このゲームは何が良いかというと、単なるRPGでは無かったということ。アクションRPGなのです。これは当時ファミコンをやっていた私としては「ゼルダの伝説」とか「リンクの冒険」、「いっき」(!?)くらいしか似たようなものに覚えがなく、しかもこんなにビジュアルがきちんとしていて、登場人物がハゲてるかおっさんかイケメンか美少女か、という判別がつくばかりか、ちゃんとカッコイイ・カワイイまで描き分けられ、台詞もきちんと個性があると至っては、ハマらない方がおかしいというもの。


 そんなこのゲームの最初は、いきなり街の入り口にぽいっと主人公が立ち尽くすところから始まります。


「おお? なんかよくわかんないけど街の中に来たぞ……」


 RPGといえば、アクションRPGを除くとドラクエくらいしかやってなかった頃だったので、「とにかく情報収集かな!!」とばかりに街の人と話をしていきます。これだけでも楽しいのですが、やはり醍醐味は、特定の建物の中に入って繰り広げられる、上記のような美しいビジュアルの男女織りなす会話劇。


 色々と話を聞いて見ると、なんか怪しいけど綺麗な占い師サラちゃんが電波受信して「世界が滅びる」などと話してるとか、サファイアの指輪を拾って売ろうとしてる不届きものがいるとか不穏な話題の中に、酒場で出会う片目の男がいるのです。なんと、サファイアの指輪を無くして困ってるんだとか。


「あ、そーいえば、最初から私、1000GOLD持ってたような…」


 ここでピンと来て、サファイアの指輪を1000GOLDで買い、片目の男に渡します。すると、彼は深く感謝して、1500GOLDくれると言うではありませんか。


「わー!! 1500!! 500も儲かったー!! そうか、良いことをするともっと儲かるんだね!!」


 などと、私は社会経験をここでも積みつつ、街の人との話を手掛かりにしてフラグをこなし進めていく快感を覚え、続いて装備を整えて占い師サラの元へ…行きたいのですが、お金が足りません。装備を整えないと、サラは容赦なく門前払いです。


「よーし、敵と戦ってお金をとるぞ……あれ? なんか画面が変わらないよ?」


 てっきりドラクエのように戦闘画面に移行するかと思いきや、敵と接触するとダメージが入り、点滅して、なんか良くない感じに。この時はまだフィールド画面のまま戦闘することを概念的に知らなかったため、よくわからず何度も当たっているうちにゲームオーバーとなってしまいました。幸いセーブはしていたため、再チャレンジ。


「ん? なんか、たまたま敵とズレて当たったら、敵がいなくなった…倒せたってこと??」


 なんとなーく、接触してる時点で戦い合っていることを覚え、何度も死んでいるうちにズレて接触すればダメージが低めで済む、ということを学ぶ私。


「おお、これで戦い方は覚えたぞ!!」


 コツを覚えた瞬間、我が主人公アドルは悪鬼と化し、周辺のモンスター達を蹂躙しまくってGOLDをたんまりとゲット。なんとか装備を整え、占い師サラの元へ訪れると、ようやく彼女は門前払から解放してくれました。


「イースという本を知っていますか? イースという国の歴史の本でして、滅びた時に6冊なくなっちゃいまして。その一冊が山の神殿にあるっぽいので、取ってきてくれません?」

「よしきた」


 読み返してみてもそれくらいのことしか情報を貰えてないのですが、暇なうちのアドルは快諾。ようやく、山の神殿に向かうということで、ミネアの街を後にすることができるのでした。


 この後も想定外の囚われ系女子を見つけたり、わけがわからん芋虫に嬲り殺されたりしていたのですが、当時それほどキーボードで操作慣れしていない私は程なく敵の強さにリタイアしてしまいました。


 しかし、なんとその20年後。

 ファルコムからリメイクが為されることに……!!


 喜び勇んで購入し、楽しくプレイしていたのを覚えています。当時音楽を聴けなかったため、ようやく名曲を拝めて嬉しくなったりもしました。そして一気に攻略し、美麗なグラフィックはもとより、その素晴らしいストーリー性に対し、改めて名作であることを身に染みて味わったのです。


 当時の私には無茶だったかもしれませんが、本当に、リアルタイムでこれを味わえなかったことが悔やまれます。思い出のゲームでした。

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