会社にWEB作家であることがばれたっ!
南野海
第1話 飲み会でいきなり言われた「おまえ小説書いてるんだって?」
小説書いては、新人賞に応募したり、WEBに発表したりしている南野海です。
とはいえ、その事実はひた隠しにしてきました。
WEB上では、自分の名前や会社の名前、出身校さえ隠し続けてきたので、仕事関係はもちろん、学生時代の友人や、親兄弟すら知りません。
いや、知らないはずでした。
ところが数ヶ月前のことです。仕事関係の飲み会がありました。ちなみに、私は建設関係の仕事で、元請けの下、各種業者を使って現場監督をやっています。その場には、元請けの社員と、会社の部長、下請けの職人数名がいました。
一次会はふつうに終わっていたのですが、二次会でスナックにいったとき、ふとひとりに言われました。
「○×(本名)さん、小説書いてるんだって?」
いったいなにをいってるんだ、こいつ?
その事実は誰も知らないはず。だって誰にもいってないし。
当然、とぼけました。
「ははは。まさか。小説なんて書いてませんよ」
「なんだ、書いてないのか」
その場はそれで終わりました。
しかし、いやーな予感が広がっていきます。
いったい誰がこの人にそんなことをいったんだろう? そしてなぜ?
なんにしろ、なにかの勘違いだろうと、無理矢理思い込もうとしましたが、やはりそれは甘かった。
いろいろ席を移り変わったりするうち、現場所長とうちの会社の部長と同じテーブルになると、再び言われました。
「おまえ、小説書いてるよな」
「いやいや、書いてませんよ」
「南野海って名前で?」
「はあっ!」
馬鹿な。いったいこれはなんの罠だ? なにを根拠に? いや、そんなものはないはずだ。ただのハッタリだ。
「タイトルは、なんだっけ……にゃんにゃんなんとか」
「にゃんにゃんじゃねえ。ねこねこだっ!」
心の中でそう叫びました。
そう、私は「ねこねこお嬢様」という小説を書いていたのです。ちなみにそれはカクヨムにも載ってます。
いずれにしろ、作品名(外したけど)にペンネームまで知っているようでは、ごまかしようがありません。
思わず笑ってしまいました。
人間こういうときは笑うものなんですね。話の中で、悪党が正体ばれたときに笑ったりするのは、案外本当のことかもしれません。
「……なんで知ってるの?」
つい、そう聞いてしまいましたが、所長も部長も答えてはくれませんでした。
こうして、長年隠してきた南野の正体はついにばれ、いじられる日がはじまったのです(泣)。
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