第9話 めざせ芥川賞? だ、だいじょうぶですか?
現場上がって、会社でうだうだしていたころの話です。
社員のひとりに言われました。
「○×(本名)さん。小説書いてるんだって?」
「え、ええ、……まあ」
「芥川賞目指しなよ」
芥川賞ですってぇええええ!
しょうじき、これはどうリアクションすべきか?
まず、芥川賞はまだデビューしていない素人が受賞することはありません。あれはすでにデビューしている新人作家が受賞する賞です。
第二に、あれは純文学の賞です。
つまり、私が受賞することは100パーセントあり得ない。
「いや、それはありえないというか……」
そこに口を挟んできた人がいる。
そう、それは総務部長。シンディー、インディーの名付け親。
ちなみにそのころはまだシンディーと呼ばれてました(意味不明の人は、第5話を読もう)。
「もう、△●さん。シンディーの小説読んでないでしょう。読んでたら芥川賞なんていわないよ」
「うん、読んでない」
おお、めずらしく総務部長が筋の通ったことを言っているではないですか?
「シンディーの作品はジャンルが違うの。『ねこねこ女子大生は二刀流』とかなんだよ」
あんたも読んでねえじゃねえかっ!
私、そんなタイトルのものは一行たりとも書いていません。(まあ、似たようなものは書いてますが……)
これと似たことは他にもありました。
小説を書いてると聞きつけた人が言う台詞。
「純文学の賞とかに出してるの?」
「いや、……ライトノベルとか」
「ライトノベルってなに?」
そ、そこからかよっ!
マンガみたいな小説とか、本屋の一角にあるアニメみたいな表紙の小説とか説明しても、わかってもらえないことしばしば。(さすがオタク率の低い業界だ)
さんざん説明した後、こう聞かれる。
「で、芥川賞は狙うの?」
だから、狙わねえよっ!
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