第2話 部長、惨殺された小悪党はあなたのことじゃありません

「おまえ、俺のこと小説の中に出しただろう? それも小悪党で」

 そう言われて、はじめはなんのことかわかりませんでした。忘れていたからです。

 よくよく考えてみれば、たしかに同じ名前のキャラを出したな。それこそ小悪党で、主人公にあっさり殺される役で。

 ちなみにそれは「黒いマリア」という作品で、過去に少年犯罪者に家族を惨殺された主人公が、女教師の身でありながら、たちの悪い少年たちを殺し続けるという話です。

 部長の名前は、彼女に殺される少年のうち、ほんの雑魚と同じ名前でした。


 ええ、もちろん、たまたまです。

 だってこの小説を書いたのは、今の会社に入る前ですから。


 そう言っても信じてくれません。

 まあ、逆の立場だったら、私も信じないかもね。


 部長曰く、「どうせなら大悪党にしろ」


 小物だったのが気に入らないようです。

 まあ、そんなことをいわれても、いまさらストーリーは変えられないし……。


 もっともべつにすごく怒られたとか、それが原因でいじめられたとかはないので、べつにいいのですが、じつはあの作品にはもっととんでもない地雷が潜んでいたのです。

 そう、元請けの所長さんです。

 名字は違うのですが、あだ名というか、呼び方が一致していました。

 そっちは小悪党どころか、もうひとりの主人公なのですが、なんというか、いってみれば……、

 サイコ刑事。

 ええ、いわゆるちょっと○の違った人です。


 ええ、もちろん、たまたまですとも。


 これはさすがにやばいと思いました。でも会社に入る前に書いたものだからしょうがありません。

 で、今回カクヨムに送る前に読み直してみました。


 もうひとりいたんです。怒らしてはいけない大物が。

 名前を聞けば誰しも知ってる企業のグループ会社。そこの現場所長。

 同じ名前の人間が物語の冒頭で殺されています。


 やはり、小悪党役で。


 なんか呪われてんじゃねえの、この話。

 もうこうなったら、「偶然の一致です。会社入る前に書いたんです」っていくら言おうが、誰も信じないだろうなぁ。


 で、今回投稿するに当たって、全員名前を変えました。

 だって、やばすぎるんだもの(笑)。


 もう一回だけいいます。この小説は私が会社に入る前に書いたものです。登場人物の名前はすべてフィクションであり、実在の人物とはいっさい関係がありません。

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