詩的な表現で、主人公たちの旅立ちを表現した作品です。パニックになる商店街の人々をよく描写できていると思いました。
星の最後が淡々とした口調で語られる物語。終わってしまうその姿の一瞬の命の灯火の美しさにみいられてしまいました。表現が美しかったのと、さらばのことばがぐっと胸に込み上げてきます。行く先はわからないけれど、生きるんだと明るい希望をのせていく船に乗り込む人々に幸あれと手を振りたくなりました。
商店街、宇宙、戦争。一見ミスマッチにも思える世界観が、不思議と調和を見せているのは、独特の柔らかい語り口と、子供の目線のお陰かもしれません。SF、そこにファンタジーのテイストが入ることで、とても幻想的な雰囲気の短編小説に仕上がっていると思います!(にじいろの鳥のイメージ喚起力は素晴らしいです!)未曽有の大惨事のただ中にあっても、いつもと変わらない姿を見せる商店街の人々。私はそこにリアリティ、人間の前向きさを感じました!
世界観設定も、状況も、どう考えても非日常的です。なのに、主人公の純粋な視点のおかげでしょうか。ちいさな日常の一コマだと感じました。緊迫した現状よりも、壊れてしまった星のことよりも、にじいろのとりに意識が向いているからか、ふんわりとした優しい感じが出ていて、素敵です!
世界観、設定、キャラクターたち。そのひとつひとつがなぜかやけに鮮明に、記憶に残る。それらを形作り彩る文章のなせる技なのかもしれない。まるでずっと昔から読んでいる絵本のようにどこか懐かしく、淡い。イラストなどないのにその情景が浮かぶ。世界がひとつとして、動いて息をしている。そんな鮮烈な印象でした。物語って、文字ってすごいんだなと改めて実感します。ほんとうに色彩が着いたらまたきっと違う印象を受けるのかもしれません。それもそれで楽しみです。
船内のゴタゴタした庶民的な感じと、窓の外にみえる光景、僕だけが見える鳥など、とり混ぜ方がとても好みでした。
今や戦闘態勢にある宇宙船の中に、商店街の人々が。。フツーじゃない状況下にある、フツーの下町の人々の会話が良いですね。地球は。。どうなっちゃうんでしょう?そして新天地での、商店街は??離れ離れのお父さんと、最後に連絡がついてホッとします。
地球滅亡というかなりのハードな設定なのに、子供の目から見た比較的身近な周囲の人々。読みやすく、また面白かったです。
切なく、胸が痛む。 一つの世界が終わって消える瞬間は何時だって悲しい。 この子の元に父親は帰ってきたかもしれないが、あの星にはもう神様は居ないのだ。 それはきっと世界の終わりの光景なのだろう。 何処と戦争したのか、あのとりが逃げ出すような相手なのか、どうしてこうなってしまったのか、想像が尽きない短編でした。
船の外側では、きっととてつもなく大きな出来事であるはずなのに、外側ではなく、船の中の日常に近いような、いつもの光景に近いものを、切り取った短編。その中で、僕を中心に描かれた出来事はかえって僕にとって身近に感じました。素晴らしかったです。
まず発想が面白いですね。 商店街そのものを新天地(この作品の場合は、なんと宇宙!)に移動させ、継続しようとするなんて! ユーモラスに進行する中、ハートウォーミングな結末に至り、かっこよく〆る――ある意味トンデモなアイディアを、僕の視点でうまく表現し、不自然に感じさせないところが見事です。 これが、また短編だから恐れ入るのです。BGMは「青い地球」で決まりですね!