すべての透明な少女のために

「色褪せた日常」という言葉がありますが、なら色が剥げる前はどんな色だったのでしょうか?
赤? 黄色? それともどどめ?

この短編の少女の色は「透明」なのだと私はずっと思っています。
透明なんて「色」はないんじゃないかな? って意見は積極的に黙殺しましょう。
「色褪せるべき日常」、未来・現在・過去の関連性……これらについて触れると積極的ネタばれになってしまうので伏せます。

だけど、故に「透明」。
どこまでも等身大な少女の日「常」であるがために、みんなの共感を呼び込み溶け込む「透明」な「色」。
この短編はたったひとりの少女「長瀬志保」のためのものと見てもいいし、すべての少女に向けた寓話とみてもいい。

この物語は「透明な少女」を持つすべての人たちのために。
私は、少し泣きたくなりました。きっと透明な涙だろうと思います。