私は毛玉ではない。ハムスターだ。

作者 水戸けい

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目次

連載中 全77話

更新

  1. はじまりは、木の実だった。
  2. 我が名はモケモフ。
  3. なにやら様子がおかしくはないか。
  4. 人は人ではないが、人だった。
  5. 新しき小屋へ移されたのではないか。
  6. ご主人の用意されし、私の場所はどこにある。
  7. とりあえず、話し合いをせねばなるまい。
  8. 我が住まいとなるのだろう?
  9. ご主人は、ご主人だ。
  10. 目覚めれば、ここに。
  11. ご主人はなぜ、私をここに配したのかーー?
  12. 新しい生活
  13. 私は、メスだが?
  14. 動きやすくなるのならば、助かる。
  15. 私は、リボンのバケモノのようになっていた。
  16. 私は夜行性なのだが、眠たくも眩しくもない。
  17. 私はミャイに引かれるまま、階下へ行った。
  18. 相伴にあずかるのが、楽しみだ。
  19. ミャイは、働いているのか
  20. どのような仕事があるのかを知って、考えてみるとしよう。
  21. そういうものだと受け止めるよりほか、あるまい。
  22. ご注文は、何にいたしましょう
  23. クルミ割り師?
  24. クルミを割ることが、仕事になるのか
  25. 割ってみようと思ってな
  26. 漏れ出でるクルミの香りもたまらない。
  27. その仕事で支払おう
  28. モケモフさんは、道具を使わずに殻を割るんだ
  29. これこそ私がこのケージに移された理由なのではないかと思う。
  30. ならば、私に仕事を回してもらえるか
  31. 気遣い、いたみいる
  32. 他者に迷惑をかけては、仕事とは言えぬからな
  33. それで、請け負おう
  34. 不思議な仕事
  35. 住所を聞いてもわからないし、地図を見てもよくわからない。
  36. 歯ごたえはまったくないが、味は好みだ。
  37. 「私は、もともと夜行性だ」
  38. しばらく待つのがおいしくなるコツだ。
  39. 「煮出し汁は、だれでもできるだろう」
  40. 「本題に、そろそろ入ろうか」
  41. 「……継ぎ目がわからぬな」
  42.  ミャイはもげるかと思うほど、首を激しく横に振った。
  43. 「ここに、赤いシミがあるわ」
  44. 「あの、私……、行きませんよ」
  45. 「報酬として、この地図と鍵をもらう」
  46. 冒険にもならない冒険
  47.  無駄なことで悩み続けないのは、いいことだ。
  48. 私は片頬だけを、ニヤリと持ち上げた。
  49. 「あの家が、宝物のある場所なのね」
  50. ミャイは板に爪痕をつけた。
  51. 「すべてを割る必要は、ないだろう」
  52. 古い木の匂いに体を包まれて顔をしかめると、
  53. 前足を奥に向けて示すミャイは、二階に上がる気満々だった。
  54. 私はべつだん得意にもならなかった。
  55. ミャイが目尻を吊り上げて言った。
  56. じれったそうに、ミャイが身をよじる。
  57. 「そうじゃないのっ! もう。どうしてわからないかなぁ」
  58. 「お嬢ちゃんは、贅沢をしたいとは思わないのか」
  59. 私の心が見えているかのように、ミャイは得意げに鼻を鳴らした。
  60. 知らないことを知るのは、おもしろい。
  61. 準備をしよう。
  62. 改めて、仕事とはなにかを考えてみる。
  63. なにかを求めて、得る代わりに渡す道具だ。
  64. 「興味はないけど、興味はあるのよ」
  65. たわむれかかるミャイがクスクスと肩を震わせる。
  66. うふふ、とミャイが頬を毛に擦りつけてきた。
  67. 「賃金は、行為あるいは分けたものに対して受け取る謝礼とも言える」
  68. 「なるほどな。私もこれからは貯蓄を意識してみるか」
  69. 「だったら、それでいいんじゃない?」
  70. 「モケモフさんは、ご主人って人のことが大好きなのね」
  71. 「ふん。話には聞いていたが、まさに毛玉だな」
  72. 「家が、老いるのか」
  73. 「なら、決まりだな。俺も仲間だ」
  74. 「こんなもので懐柔なんて、されないんだからねっ」
  75. 「私を行かせたい理由があるのか」
  76. 作業台の上の殻粉が、私の息に流される。
  77. 「それはミャイの価値観でしょう」
  78. 「あの子、モケモフさんに甘えっぱなしで」
  79. ミャイの母親に、ミャイに甘いと言われたことを思い出す。
  80. 「かわいいというものは、私にはよくわからぬ」
  81. 「私とミャイは違う」
  82. 「モケモフさん、コーディネートもわからないの?」