なにやら様子がおかしくはないか。

「ひぃいいいっ」

 私が振り向けば、人影がうごめいた。

 なんなんだ、貴様らは。

 そう思いつつ、私が片目をすがめると、またもや悲鳴が上がった。

「きっ、貴様はなんだっ! ここでなにをしている」

「それは、我が聞きたきこと。ここはどこだ。そなたらは、何者ぞ」

 のそりと振り向けば、人影がかたまりになった。あきらかに怯えている。私にこうして怯えるのは、ご主人の弟、コウキくらいのものだ。

 私はすこし、気分がよくなった。

「ひぇっ! でっかくなった」

 私が背すじをわずかに伸ばしただけで、人影はかたまったまま、もんどりうって倒れた。

 ゆっくりと歩み寄る。

 そこで私は気づいた。

 なにやら様子がおかしくはないか。

 人が……、私を手のひらに乗せられる程度の人が、私とおなじほどの体長しか、有しておらぬように見える。

 私は警戒をしながら、シリモチをついて震えている人影に、ジリジリと近づいた。

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