現代社会を生きる上での必読書

疎遠にしていた親類から突然、負債を相続することになり、簡易裁判所に呼び出される事態になった主人公。

その戸惑い、苛立ち、弁護士や身内の様子、裁判所内の描写……どれも、実体験を元にされているだけあって、とても現実味があり克明で、まるで読者自らが体験しているような錯覚にすら陥ります。

悪徳業者が、簡易裁判所をうまく利用して債権を取り立てているという話はちょくちょく聞いたことがあります。

自分はどこにも債務なんてないしと安穏とするのではなく、この主人公のように相続で巻き込まれることもあるのですから、もし万が一そういう事態になった時に、この小説は貴重な指針の一つになるのではないでしょうか。

そういった意味で、他に類を見ない貴重な小説だと思いました。

現代社会を生きる上での必読書ともいえるべきものを書いてくださり、ありがとうございます。

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