歪な四角を丸く収める、その方法とは――?

 四角に対立線を引いて、すこし崩した人間関係のギリギリで保たれた丸く柔らかい角度――キャラクターたち――
 誰かを愛するには、誰もを手放さなければならないのか、という反転する問い。

 愛とは何か?
 分け隔て無く、分かち合うものだろうか。
 或いは惜しみなく、与えるものだろうか。

 そこに優劣はあるのか、誰かの1番になることが正解なのか、もしくは答えがあるのか。

 苦悩する姿は、誰もが幸せになれるかもしれない、そんな未来へ手を伸ばすように見えながら。物語は、淡い桃色の花片――季節――を、雪のように融けて消してしまう現実かもしれない。

 余韻と予感をして、もう少し深く長く読みたい、と思わせてくれる作品。

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