愛する彼女がいるのに、気になる人ができてしまった。真面目な拓海は悩んだ挙げ句、花絵に真実を打ち明ける。
すると花絵も切り出した。私も別に想い人がいる。あなたもその人も、どちらも大切な人。
「だから……私たち、一緒に暮らしてみない?」
拓海とヒロ、どちらも手放したくない花絵。
そんな花絵を一途に愛する、才色兼備なヒロ。
拓海に思いを寄せる、孤独を抱えた青年、優。
そして、花絵を愛しつつも、優の側にいてやりたいとも願う、拓海。
「みんなで幸せに」
そんな願いのもと和気藹々と始まった四人の共同生活は、徐々に危うい空気をはらんでいく。
自分の気持ちにどこまでも真っすぐな花絵に対し、覚悟が決まらず悩む拓海。ヒロの揺るぎない愛に怯み、優の静かながらひたむきな想いに翻弄され、揺れ動く……
「愛」というものに、それぞれ真剣に向き合う彼ら。世間的に見れば、普通じゃない関係性なのかもしれません。でも、「普通」であることって、そんなに大事?
迷い悩んだ末に彼らが選び取る「みんなで幸せ」の形、ジリジリはらはらしながら見届けてあげてください。
普通の男女カップルだった二人に、それぞれ同性に気になる人が見つかった――
そんな驚きのシーンから、物語は始まります。
付き合ってる相手も大事だけれど、それぞれの同性相手のことも大事で。
完全にひとりに絞ることができない。
性別関係なく、ずっとそばにいたい。
若い男女が、傷つき、もがき、悩みながら、人を愛するということに真剣に向き合っていきます。
四人の男女、それぞれのキャラクターがはっきりとわかりやすく、みんなそれぞれ魅力的なのがとてもいいです。
ついつい、全員を応援したくなってしまいます。読者も複雑!
真剣に恋愛を語っていますが、語り口はくどくなくてとても読みやすいです。
恋愛ものをしっかりとお読みになりたい方、是非ご一読を!
四角に対立線を引いて、すこし崩した人間関係のギリギリで保たれた丸く柔らかい角度――キャラクターたち――
誰かを愛するには、誰もを手放さなければならないのか、という反転する問い。
愛とは何か?
分け隔て無く、分かち合うものだろうか。
或いは惜しみなく、与えるものだろうか。
そこに優劣はあるのか、誰かの1番になることが正解なのか、もしくは答えがあるのか。
苦悩する姿は、誰もが幸せになれるかもしれない、そんな未来へ手を伸ばすように見えながら。物語は、淡い桃色の花片――季節――を、雪のように融けて消してしまう現実かもしれない。
余韻と予感をして、もう少し深く長く読みたい、と思わせてくれる作品。
人は独りで生きていくためには、あまりにも小さな力しか与えられていません。その代わり、人を愛するという、他の動物では考えられないほど大きな本能を保有しております。
そしてこの愛は、子孫を繋いでいくために神から与えられた使命をも帯びているのです。
ただ、「人を愛する」本能には、子孫繁栄には結びつかない「人を愛する」心を持つ人たちもいます。でもそれは、神の意思に反することなのでしょうか。
答は「否」です。人を愛することと、子孫を作ることを数式のようにイコールで結びつけることほど愚かなことはない、と考えるからです。
今作は、自身の遺伝子を子孫に受け継がせることよりも、目の前にいる、ただその人だけを愛していきたいという心を持つ、男女四人の物語です。
様々な葛藤、軋轢、差別、などを乗り越えて、本当にその人だけを愛していきたいと願う主人公たち。
彼ら彼女たちが、なぜ共同で生活するようになったのか。言葉、文字を自在に操る作者が描く、青春ラブ・ストーリーです。
BLが苦手なかたでも、この物語には心から共感できると思います。
全三作のオープニングを飾る今作。
新たな見識が広がるチャンスです。ぜひご覧になってください。
この四角関係という構図を思い付いた時点で星3つは確定ですね。
色々書きたい事は有るけれど、ネタバレに擦りそうなので、今回は自重します。
ところで、aoiさんは未婚者でしょうか。既婚者ならば、当事者同士の問題が片付いたら、子供は?が次なる課題だという意見に賛同頂けると思います。まぁ、個人の考え方は様々で、あくまで一般論ですが...。仮にそうなると、現実解は花絵の提案しかないわけです。生物学的に。ヒロも同意していましたしね。
私は、ここで終わらずに結婚・出産まで取り組んでみたら、つまり、もっと長い小説にしてみたら面白いんじゃないかと思います。ただでさえ、結婚となると、好きだけじゃ物事は進みませんからね。あら!このセリフ。もし、aoiさんが未婚者ならば、結婚への夢をヒビ割れさせちゃいますかね?
自然な気持ちの変化と、先が読めない関係の推移が面白かった!
ガールズラブならともかく、ボーイズラブは趣味じゃない俺でも楽しんで読めたし。ストーリーは間違いなく面白い! こういう作品が原石って言うんだろうなー
小説としてみれば、俺は星は一つという評価になるんですが!
続編の登場により、星を一粒追加しました。御作を読んで気に入った方は続編へGO!
印象としてはどろどろ感がそんなになくて、むしろさわやかな感触を受けた。作品に入りやすくて、感情も共有しやすいから確かに人を選ばない作品だと思う。同性恋愛物はちょっと……って思ってる人にこそ読んでもらいたいっす。
作者さんも書いてますけど、性別ってくくりはあんまり気にならなかったかな。作品の大前提として性別というテーマがあるけど、何が何でも同性愛推しっていう雰囲気では無くて、自然な感じで関係性が作られていたから読みやすかったんだと思う。
描写で、すごく惹かれた表現があったんだよ。
“ずっと心に刺さって疼いている矢に触れられたような感覚だった”
“鼓動と熱が身体から溢れる”
難しい言葉を使っているわけでもないのに、情景や心情が凄く伝わる。
『心』と『触る』で『痛み』と来れば、普通は『傷』を使うものだけど、遠回しに『矢』を使う。これにより、より強い『後を引くような癒えない痛み』を印象づけられる。
『鼓動と熱』が『溢れる』。自分ではどうしようもなく高まっていくっていうイメージがすぐに浮かぶ。
詩的な表現をメインにしていない作品で、こういうセンスの良い表現が差込まれていると読んでいて嬉しくなりますね。
会話文では
“「……出てる」”
これの力。強力だったわー。
いやいや、組み合わせて力を増す言霊って多いですけど、短くても力を発揮する言霊ってなかなか、ね。あ、もちろんその後の台詞がメインになりますけど。
うーん、俺の星の数は気にしないで! とか勝手なことを言ってみる。
この作品は色んな人に読んでもらいたい!
読まれさえすれば、絶対ファンも付くわー。
そんな恋愛作品です。
続き来ましたー。
作者さん頑張ってます!!
応援よろしくお願いしますって俺からも言ってみるぜ! って効果は無いかもだけどな。
でもあんまり頑張りすぎて倒れないように!