華やかな服を着たドールは、いつだって誰かの手の中にある。

ドールブティック茉莉花堂は、ドールのためのドレスや服や帽子やアクセサリー、乙女心をくすぐる魅力的な品々を取り揃えています。訪れるお客様のなかには、自分のドールのために、専用のドレスを依頼する方もおられます。

これは1人の少女が、ドールのためのドレスを造る物語。
そのお仕事は、ドールの寸法を測って、上等な布を仕立てて、綺麗にお裁縫をするだけではありません。
ドールには持ち主がいます。ドールにも、そして持ち主にも、それなりの歴史が、人生があるものです。オーダーメイドのドレスを依頼できるほどの人物なら、尚更のことです。
ドールに、そして持ち主に寄り添って、そこに刻まれた歴史を汲み取って、茉莉花堂のドールドレスは、その歴史に加わるに相応しいものが造り上げられるのです。

ドールを通じて描かれるのは、人と人との物語。
華やかで、甘くて、可愛らしいものに溢れているけれど、決してそれだけではありません。
読み終えた後には、暖かい気持ちに包まれることでしょう。章の途中で読むのをやめることは、きっとできないはずです。


最後まで、楽しく読ませていただきました。完結お疲れさまでした。



あ、僕はゼローアが好きです。

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