サナトリウムでの小さな民俗譚

サナトリウムという閉じられた、けれど穏やかな日常生活。
しかしその穏やかな日常は、死をとても身近なものとする生活でもあり。

そんな穏やかだけれど優しいだけではない閉鎖空間でも、患者さんたちは日々の暮らしや四季を楽しんで生き、お医者さんたちは人間味にあふれ、私もこんな所で長期療養してみたいなんてつい思ってしまいました。

そんなサナトリウムに現れるちょっとした異変。その異変をごく普通のこととして受け入れている病院のスタッフたち。
それにはじめは戸惑いながらもすぐに順応し、作家らしい好奇心と本人の気質からくるのであろう温かな視点で不思議なものたちをときには見守り、ときにはちょっかい出ししている主人公がなんとも微笑ましく素敵です。

うちにもこんな茸が生えないかしら。

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