展開はいつも突然に

「来るのが遅いし倒れるのも遅かったね。」



 冷たい床に転がっていると上から軽い声が聞こえる。

目の前には部屋の中央に配置した電気椅子と、そこに変わり果てたどこかで見た顔の奴が座っていた。死んでいた。


 どうしてこうなった?何で俺は床に転がっているんだ?

脳の処理が追い付かず、頭痛と耳鳴りが止まない。


 ふと、今一番大事な事が気になって後ろに目を向ける。


 赤い観音開きのドアの前で真城ちゃんは立っていた。

しかし、その立ち振舞いはどこか頼りがいがなく今にも倒れそうに見えた。



 ただ、あのドアを開けたときまでは覚えている。

あのドアを開けこの部屋に入ったときに白い閃光が広がった。

閃光手榴弾か?!と、思った瞬間には全身に激痛が走り床に倒れていた。

身体中には切り傷、打撲傷、火傷まで多種多様な物だ。

おまけに右手と左足が骨折までしている。


 最初は痛みより先に感心した。

今まで多数の信者を殺したがここまで手早い奴は初めてだ。

だが今は流石に死ぬほど痛い。

脳を痛みを支配し逆にどこか脳と別の場所で冷静に物事を考えている。気がする。


 一度だけ顔を上げるとそこにはニヤついた男の顔があった。

高校生ほどの男で髪やら服装は雑誌から切り取った様なものだった。


 だから、俺はお前ら信者共のその顔が気にくわないんだ・・・

絶対に殺すと誓ったあの時もそんな顔をしていた気がする。


 まぁ、真城ちゃんならまず大丈夫だろう。

男には真城ちゃんを殺すどころかピンチに陥れる貫禄はなかった。

ただ運良く不意討ちに成功しただけ・・・だろうか?



意識が一旦途切れる。世界はまだ止まらない。

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