なんともいえない切ない読後感。 詳細本作。
送り狼、あるいは送り犬という妖怪がいる。この作品はそれをモチーフにした哀しいお話。獣の好意と人間の道理は相容れない。笑っていてほしい相手が泣いたのは自分のせいだと、たぶんオオカミは気づいた。そのときのオオカミの描写が簡潔で、だからこそ胸に迫る。よけいな説明がないのがいい。読んでよかった。
人間が、真の意味での献身をすることはないと思う。 利害が絡めば人が動く現代社会ならなおのこと。 それはこれから何世紀続いても、変わることはない。 この短編では、オオカミの無私の愛が語られる。 獣は、人間以上に合理的な生き物だと 捉えられる。だとするならば、無私の愛は正統に当たるのではないだろうか。 最後のオチも目から鱗で、一読の価値がある。
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