酒井七馬と手塚治虫

作者 須崎正太郎

駆け出し時代の手塚治虫! 面白い題材です

  • ★★ Very Good!!


 駆け出し時代の手塚治虫、というのはとても新鮮に感じられました。
 
 「ブラック・ジャック制作秘話」「チェイサー」の、「時代の流れに取り残されつつある、落ち目の巨匠・手塚治虫」も面白かったですが、新人時代というのは……そういえば、手塚だっていつかは新人だったに決まっているのだ。


 そして手塚の師匠・酒井七馬についても、手塚と対照的に落ちぶれていく姿が、泣かせます。
 手塚治虫の才能はあまりにも圧倒的であり、たとえ酒井七馬がいなくても、きっと自力で漫画家になったに違いありません。ある意味、酒井は足かせですらあった。その残酷な事実も描かれています。
 しかし……では酒井七馬の存在は無意味だったのか……
 そんなことはない、誰かの心を、たとえ一時でも動かすことが無意味であるはずがない。
 その結論が、痛いほど胸にしみました。
 創作者の99パーセントは手塚側ではなく、酒井側の人間でしょうから。

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