事実は小説より奇なり

世の中には、話のオチがわかる時がある。
だが、「彼」の話に関して言えば着地点がまったくわからない。

挙句にはタイトルだけでは想像がつかない時まである。

「彼」の話は「自称食通」の人にありがちな所から入ったのにも関わらず、
気付けば「自称食通」だけでは説明できない人物であることがわかってくる。
「彼」の滑稽な言動は笑いと悲哀を同時に誘い、強烈なキャラクターとなって描きだされている。

そんな彼と付き合い、淡々と描きだす著者もまた独特の個性の持ち主なのかもしれない。

これがノンフィクションのなせる業なのか。
いや、著者の語り口や人物の描き方も拍車をかけているので、技量のなせる業でもあるだろう。
おまけにオチのつけかたに至るまで綺麗にストンとまとめてくれている。

飯の話なのに、まったく食欲のわかない、笑って読める秀逸なエッセイ。

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