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『ネコ・まこ・ロンド』の連載をさらに続けています

 22日掲載分(第15話 ブレッド・アンド・バター・プディング から)
https://kakuyomu.jp/works/16816700426037799554/episodes/16816700426117800938
 23日掲載分(第17話 春 から)
https://kakuyomu.jp/works/16816700426037799554/episodes/16816700426140721381

 第12話の「(ザ・)ロング・アンド・ワインディング・ロード」The Long
And Winding Roadはビートルズの曲です。『ゲット・バック』のためのセッションで録音され、『レット・イット・ビー』に収録されました。その際に実際の作曲者のポール・マッカートニー(名義はジョン・レノン&ポール・マッカートニー)に無断でオーケストラと女声合唱がダビングされて、ポールが激怒したという事件で有名な曲ですが……そういうのがなくても有名な曲で、私の好きな曲です。
 私が最初にきいたのは、そのオーケストレーションをもとにしてアレンジされたらしいカバーヴァージョンでした。イージーリスニングふうのインストゥルメンタルです。そのころラジオで日付が変わる直前の時間帯にやっていた「おやすみ前の音楽」的な番組で聴きました。「おやすみ前」というより、夜が明けるイメージだな、と思ったのを覚えています。その数年後、夜が明ける時間帯が自分の「おやすみ前」になる生活をすることになるとは夢にも思っていなかった……なんて、どうでもいいですね。
 いい曲だなー、と思って曲名を覚えていて、あとでビートルズの曲だったと知りました。発売されなかった『ゲット・バック』のセッションをアルバム『レット・イット・ビー』に再編するときに、それを主導したフィル・スペクターが自分流のアレンジにしてしまったのですね。私自身はいわゆる「スペクターサウンド」も好きなので、オーケストレーション版もダメとは思いませんけど、アルバム『レット・イット・ビー』で共通の曲想というのを求めるとしたら、このアレンジはたしかにそこからはずれている感じはします。
 よく演奏される曲なので吹奏楽アレンジ版はたぶんあると思いますが、アルトサックス×2、テナーサックス、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット×2、コントラバスという、びみょーにアンコン(吹奏楽の全日本アンサンブルコンテスト。8人以下)に出場できない編成のアレンジというのはたぶん存在しないでしょう。したがって、このメンバーによるオリジナルのアレンジなのだろうと思います。
 第14話の「シェーベルクのあれの、ブラームスのあれ」は、舞子の説明にあるように、ブラームスのピアノ四重奏曲(ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)第一番ト短調です。比較的早い時期の作品ですが、第一楽章がいきなり四分音符が単純に並ぶだけで始まるところなど、後期の「枯淡」な交響曲第四番ホ短調を思わせるようなところもあります。そういう曲を、「十二音技法」を編み出した現代音楽の作曲家が、自分はこの曲が好きだから、とオーケストレーションしているんですね。
 ここで弾いているのは最終楽章(第四楽章)の途中からです。ブラームス「編曲」の「ハンガリー舞曲集」とも共通する情熱的な曲想の曲です。
 あと、第15話のブレッド・アンド・バター・プディングはアイルランドのお菓子なのだそうです。ぐるなびにアイルランド大使館さんがじきじきにレシピを公開しておられます。
https://ippin.gnavi.co.jp/article-14915/
 「ブレッド・アンド・バター」というか、「ロックンロール」とかと同じで「ブレッドンバター」という感じなのでしょうけど(アイルランド大使館の記事は「ブレッド・バタープディング」になっています)。プディングというのはプリンですけど、こういうのも「プディング」と言うんだね、という。ちなみに清瀬はまだいただいたことがありません。
 未亜先生はアイルランドで習ってきて舞子に作ってあげたのか、自分で作ったのの試食に舞子を巻き込んだのか。
 『ネコ・まこ・ロンド』は24日掲載分で終わります。また『やまざくら』の連載に戻るほか、別作品の掲載も予定しています。

 *7月25日に「ロング・アンド・ワインディング・ロード」の説明を少し書き足しました。

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