前回の近況ノートで説明していなかったベートーヴェンの「春」ですが。
ベートーヴェンというと、やっぱりごつごつした曲が多いという印象があるかと思うんですけど、きれいな、流れるような、またはかわいらしい曲もいろいろ書いています。この「春」もそういう曲の一つだと思います。あと、ヴァイオリンソナタを「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」というタイトルで書いていて、ピアノもたんなる「伴奏」以上の重要さを持たせているようなところもあるみたいです。
というわけで。
連載しておりました『ネコ・まこ・ロンド』完結しました。
終わってから言うのもなんですが。
「ネコ・まこ・ロンド」というタイトルはとても不親切なタイトルです。
最初から意味がわかるのは主人公の「まこ(舞子)」だけで、「ネコ」は最後にならないと稲子のあだ名だというのがわからない(有馬稲子さんを「ネコちゃん」と呼んだことをご存じなら……でも相当年配の方のような気が……)。「ロンド」についてはほとんど説明がありません。じつは本として発表したときには「情熱的なロンド」という章タイトルもありませんでしたので、舞子と稲子が聴いて感銘を受けた曲はロンドだった、というのを知っていないと意味がわからない。
いや。さすがに「このタイトル、どうなの?」と自分でも思ったのですけど。
ふと思いついた「ネコ・まこ・ロンド」ということばの語呂の良さに負けました。
すみません。
ロンドというと漢字書きの「輪舞」が印象的ですが、音楽形式的には、最初のメロディーがほかのメロディーをはさんで何度か繰り返される形式の曲を言います。このブラームスのピアノ四重奏曲第一番の最終楽章がそうですし、交響曲などを含めて他にもよく使われます。
あと「謎の……の正体とは!」というのも、10年前によく耳にした、いまとなっては歴史的な表現だなぁ。
それでは。またお目にかかりましょう。