旅の朝
出会った老婆が山の向こう
登りくる陽に両手を合わせ
通り過ぎる私に笑顔で挨拶をくれた
「主人を去年に亡くしましてね
今も守っていてくれている気がして
こうやって毎朝お日様に
ありがとうって言っているんですよ」
私は立ち止まり今まさに出てこようとする太陽を仰ぎ見る
私はあなたを守ってこれただろうかと
譬へ両手を合わせてもらうほどのことは全く無いとしても
少しくらいは守ってこれただろうか?
自問自答した時
自分に言い聞かせてしまう
ありがとうと
守られていたのは私自身だと
今日の朝も老婆は両手を合わせ
感謝の祈りを捧げているのだろうか?
私は二輪にキーを差し込み
次の場所を探し求める
待っていてくれる人が居ると信じて
織風
まだまだ旅の途中