青丹よしお

百物語は最後まで語ってはいけない。 だから、この集まりも九十九話でお開きになるはずだった。 なのに、その男はいつの間にか部屋の片隅にいたのだ。

高校三年の夏休み。入院している夏希の元へ、綾子が見舞いに訪れる。お互いに相手には絶対に言えないその秘密とは……

腫瘍内科の俺の外来に、今日も彼女はやって来る。小悪魔を装っただけの、ただの一人の女の子として。 ・拙作「私は天使が嫌いだった」のスピンオフとなっていますが、まったく別作品となっ…

ペペロンチーノに祝福を！！

誰にも迷惑をかけずに模範的人生を歩んだ物語のショートショートです。約２分で読み終わります。

世の中便利になったものだ、今や労働は全てロボットがやってくれる。（約６分で読めます）

看護師伊織の第2弾です！短編なのでサクッと読みたい方どうぞ。

「猫がついてくる？　そうか、牛車を止めて餌をおやりよ。ちょうどいい。私も家に帰るのを遅らせたいと思っていたのだ」 　 　梅雨時の火灯し頃（夕方）、雨音がこもる牛車の内側で、男は手…

あれこれ悩んで結局作品を出さないより、えいやと出してみるのもまた一興という話です。「未完の名作より完結した駄作」とも通ずるものがありますね。

吉野の桜に、二人して魅入られて。まるで、夢見心地のような。

私が愛の話を書くと何故かホラーになってしまう。 この愛にあなたは耐えられるだろうか？

K書店の店員のナオトは、頑張って仕事をしていますが、いつも大変な目に。そんなある日、ナオトにも。

きみどりさんの自然の脅威がテーマの自主企画に寄せて。 ミドリ…お医者さん ミズキ…受付(医療事務)さん チハル…看護師さん キミカ…受付(医療事務)さん 花粉症…苦し…。 い…

ある小説が好きな「私」の話。

高校時代、図書室のライトノベルコーナーでの話。

ある少年と少女の話。

KAC20246『トリあえず』 春からの大学進学を機に上京する私は、電車内でふととある鳥のことを思い出す。 鳥の名前は『おーちゃん』 飼い主の名前は『しーちゃん』 そして…

あの春の夕方、表の庭で猫が鳴いていた。 夕飯の時間に祖父を起こしに行くと、ソファに背中を預け、眠っているように見えた彼の顔には、苦悶の表情が浮かんでいた。 ※犀川よう様自主企画…

ケストナーは自分の本が燃やされるのを見物しに行ったようです。

「ささくれとは生物である！」 そう主張し、学会を追放された（学会費滞納３期分）の自称天才科学者の話からはじまるショートショートです。 ※KAC20244、お題「ささくれ」の参加作…

三分以内に邪智暴虐の王を改心させるany%RTAです。メロスが激怒したところで計測スタート。 ※KAC2024参加作品です。お題は下記の２つとなります。 ・書き出しが『○○には…

「永遠に雪が降り続ける村に住む老婆が、不思議な力を持つ花を育てることで村を救う」という物語です。老婆の力と花の力を信じ合い、村人たちは雪に立ち向かい、互いに支え合って生きることを…

麦わら帽子をかぶった主人公が霊感を得て亡くなった人々と交流する物語。霊たちの思いを代弁し、成長していく中で人生の教訓を得る。自らの人生や愛を大切にすることを学ぶ。

――嵐の去った、そのあとにあるものを知っているかい？ 機器のメンテナンス員として働く横井は、或る日嵐が訪れる街の旅館にやってくる。 そこで彼を出迎えたのは、空模様よりも深いグレー…

僕の住んでる田舎は、「稲堀山《いなほりやま》」の麓にあって昔から妖怪にまつわる話が多い。 とくに、ばあちゃんちは、稲堀神社の近所で僕が住んでる地区よりもっとど田舎。 バスは一日朝…

鷲巣忠隆（わしずただたか）は安土桃山期の武将である。 九州釜崎藩の初代藩主に仕えて武勲をあげ、死後は樅木神社（もみきじんじゃ）に神として祀られた。 時は流れて2021年。樅木神…

糖が保持する熱量《カロリー》を、高効率でエネルギーに変換できる夢の新物質が発見された。 ガラスに似た質感を持つ新物質は、化石燃料の問題を完全解決し、人類に計り知れない恩恵をもたら…

大学の小説講座の講師が、花見に行きつつぐだぐだと考えごとをするだけの話です。 （文中引用出典： 梶井基次郎「桜の樹の下には」 https://www.aozora.gr.jp/c…

手紙に執着した想いが鬼となったと言われている妖怪、文車妖妃。 彼女は今日も言の葉を紡ぐ。 愛しいあの人へ、ありったけの愛と憎しみを込めて。

西暦2×××年。 住む世界は変わった。 遠くなった海。 近すぎる天。 僕はいつも眺めていた。 美しい海を。

犀川よう様の自主企画、さいかわ卯月賞参加希望作品です。 女子学生を庇い、交通事故にあい、昏睡状態にある妻。 彼女は、桃の花を好んだ。 だから、わたしは妻に見せたい。 妻が、春の…

降り続く雨の夜に、 私たちは出会った。 永遠の時を生きたいと願いながら、 今の世を捨てたいと思った。 2人一緒にいられるなら、 どこでもよかったのに。

日本の名川に名前を連ねる『恋鋼川』は、岸辺の両端からアーチ状に掛かった見事な木蓮の花が有名だ──。 まだその川に名前が無かった頃の、あまりに痛々しくも抉い、悲しい恋の物語。

　国内で新種のペンギンが発見された。人の手の上に乗ってしまうほど小さいために「ミニチュアペンギン」と名付けられたそのペンギンは、とある奇妙な生態と、不思議な力を有していることが明…

ある虚無虚無人間の女が入教して新興宗教を崩壊させる話です。

間もなく離婚する予定の私。 肉を摂取したくて仕事帰りに立ち寄った牛丼屋、日本人より外国人の方が多い店内、客同士の噛み合わない会話。 タバコ屋の店先では、闇の隙間を仄白いタバコの煙…

底辺である私の失敗、カクヨムでどう過ごしているかなどを綴っていきます。創作の役に立つかどうかはわかりません。

「僕」はある時から毎年春になると堀ノ内斎場に桜を見にいくようになる。僕だけが知らなかった堀ノ内の桜は、今や僕だけが見ている。

　自主企画「あなたの小説の方角はどちら？」に向けて書き下ろさせていただきました。 ご感想ご指導ご鞭撻諸々、賜れれば幸いでございます。 追記 4月13日、分かりにくい所を…

厳寒の北の大地。 吐く息が白くけぶる。 漂う…【冬の匂い】。 【登場人物】 シュカ：仔熊を拾った15歳の少年 グラチカ：母熊を失った灰色の仔熊 エンリィ：シュカの妹

君はたしかに、痛みを感じない。僕がどれほど強く君に力を振るおうと、その力が大きければ大きいほど、君はいたって無傷だ。何も感じない。でもな、君はあくまでも『身体的な痛み』を感じない…

※災害の表現を含みます。 神様は居る。それは自分も分かっている。 神社の跡継ぎの葛藤と、それを言葉では教えてくれない父親のお話です。 追記・5月3日にタグ更新し…