このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(179文字)
私は読み初めに「走れメロス」を思い浮かべた。中世ヨーロッパの情緒で何か物語が始まるのかなと。だけど物語と言えるほどの詳しいことは全くわからなかった。それなのに私は、まったく知らない場所で生きた人の葛藤や友情を強く感じている。またその意識が今もどこかで日記帳の間に挟まって"小さな時代"を保ち続けていることを嬉しく感じている。手紙というあくまで実用的であり文学とは反対に位置するシンボルで、文学の価値を誰にでも優しく真っすぐ教えてくれる作品。読むべきです。