旅行や法事の予定を睨みつつ、セルフ夏企画で、八月も連載することにします~。懲りない。
連載をやると平生から少な目の外部へのアクションがほぼ止まり、消えたのかというほどの行方不明者状態になりますが、廃墟の中で完結まで走ります。
「魔女りん」を書いている途中、スピンオフが書けそうな気がしていたのです。
どこかの自主企画に乗っけられないかな~とウロウロしていたところ、ちょうどうまく便乗できそうな企画、『嫁入りからのセカンドライフ』を見つけたので、そちらの要綱に合わせるかたちで書き下ろします。
独立した話なので単品でも読めます。
どんなコンテストにでも片っ端から皆さんやたらと応募するなぁと想っていたら、実はそのほうが締め切りまでの目標や文字数の目安が出来て、書きやすいんですよね。
嫁入りばなしといっても、書いているうちに焦点はズレるかもしれない。
まあいいか。
指定文字数上限の6万字を目指します。
分量的には「魔女りん」の三分の一なので、ほどよく真夏の間に終わるのではないでしょうか。
「実家で冷遇されていたわたしが、嫁いだ家では溺愛されて~」
「地味で取り柄のない私、でも栽培だけは得意なの、嫁家でガーデニングに励んでいたら野菜嫌いの旦那さまから愛されちゃった」
夢のある甘々ロマンスがお得意な方には、『嫁入りからのセカンドライフ』はもってこいの企画でしょう。
これ、『賢いヒロイン』に応募された作品をちょっと変えたらそのままエントリーできる方も多いのでは?
恋愛ジャンルの方々が、超得意分野です! と眼をキラキラさせながら執筆されそうですね。
「魔女りん」のスピンオフを書きたいのが動機ではありますが、わたしも頑張って、なけなしのものを振り絞って、乙女小説を書きますよ~(震えながら)
「賢いヒロイン」よりも今回のほうがより女性向けの企画のように想えますが、底力のある男性が参戦すると、とんでもない化け物作品が生まれそうな気がする。
酒見賢一「後宮小説」みたいなやつ。
らんたさんがお書きになった、こちら。
●「若者のライトノベル離れ 約7年で市場半減のショック」
https://kakuyomu.jp/works/16817330659071865553その辺のおっさん兄ちゃんが書いた「転移転生してハーレム無双、悪役令嬢ザマァじゃー!」「リーマン生活に疲れたので転移転生してパンチラ・エルフとほのぼのライフ」、これの、【上位互換(ここ大切)】小説なんて、上位互換であろうと出版されるようなものなのかっていう気持ちはなきにしもあらずで、さらにはそれを【十代】が読んで楽しいのかっていう話なのは同感です。
私自身が十代の頃には、すでに親から「そんな低級なものを読んで」と云われていましたから、若い世代が「これ面白い!」と支持する作品について、とやかく言う気はありません。
だから、ネット小説の上位層にずらりと並んでいるものは、これが今の時代の、小説を愛好するお若い方々が心の底から面白い! とわくわくしながら支持している『人気作』なのだろうと、そのまま受け取っておりました。
出版社側も、その人気のある層から、「これは面白い。いける」というものを選んで書籍化しているのですよね。
でも売れてないという。
売れてないから一生懸命、出版社側もごはんを食べるために、いつか出るはずの大ヒット作までのつなぎに、埋草みたいに書籍化を連発する。
それをやると、「このレーベルはどうせ面白くない」「どうせまた打ち切りになる」と云われてさらに購買層が遠のく悪循環になっている。
ラノベが力を持って耀いていた時代を少しでも知る方々としては、とても残念ですよね。
エロ要素なんて十代は必要としていないといっても、エロについては、昔からそこそこ十代向けラノベの中にもありましたよ?
エロもグロも、けっこうガッツリ入ってました。
ただその質というか、内容が、おっさん兄ちゃんが書くような、「とにかくモテたいんじゃー! エロがわしの夢なんじゃー!」とは違っていただけで。
そしてその頃のラノベ作家さんって、その気になれば一般文芸作品も書ける力のある人が揃っていたような。
モテたかった。勇者になりたかった。
そんなおっさんの願望をそのまま詰め込んだハーレム無双を本来は十代向けのものだったライトノベルとして発刊したところで、誰が読むのよっていう。
十代がそれで読んで、彼らの心の中にずっとある大切な一冊になるんでしょうか?
それで結局、ラノベを見捨てて、青空文庫や青い鳥文庫の古典に若い子たちは流れている。
ラノベ市場の凋落とはべつに、これは良い傾向ですよね。
あまり本を読んだことのない中学生が何か小説を読んでみたいと云った時に、今のラノベを渡さないでしょ。
チャラくて軽いものが悪いわけではなくて、わたしも十代の頃は読んでいましたので、あれにはあれの面白さがちゃんとあります。
でも他の本も読んでいました。
「若い人でもおじいちゃんみたいな文章を書いてくる……」
的なことをぼやいた誰かさんの発言が一時流れていましたけれど、青空文庫なんかを読んでる! って愕いておられましたけれど、つまりその下読みさんだか誰かさんは、「もふもふザマァじゃー!」だけを読んできて、選考する側の出版業界にいらっしゃるということなのでしょうか。
十代の子たちが活字の中の世界に抱くものは、【憧れ】です。
それが現実の人生に行き詰ったおっさん兄ちゃんたちの願望が炸裂した「ハーレム無双、エルフのはだか祭りじゃー!」だと、もういいよね読まなくて。
転移転生ものも「幼女戦記」くらいのものならば、三十代以上になっても読みごたえがあるんでしょうが。
そう、十代の子には実は、【硬派なもの】がいいんです。
【少し難解】なものがいいんです。
「銀河英雄伝説」「十二国記」みたいに、何十年にも渡ってドル箱になる作品って、ラノベであっても、チャラくないじゃないですか。
ラノベなんだけど、
「何かものすごいものを読んでいる」
とゾクゾクと【上がる感覚】が十代の彼らには必要なんです。
同じ中国史に興味があっても、田中芳樹は「銀河英雄伝説」を書いて、酒見賢一は「後宮小説」を書いたんですけど、彼らの下地になったのは、
「若い人でもおじいちゃんみたいな文章を書いてくる……」
と出版社側の誰かさんに嘆かれた、れいの、青空文庫収録作品です。
「これがいま一番人気があります!」と推して、「明るく楽しい・もふもふライフ」がどんどん出版されて、それで「なんで売れないの?」と首をかしげる悪循環が出来上がっちゃっているのには、若い人たちは「もふもふ」なんか求めていないというポイントをことごとく外しているとしか思えないなぁと、らんたさんの評論を読んで。
ラノベを若い人たちに返してくれ!
これにはまったく同感です。
漫画にたとえるなら初期の「キングダム」みたいな、血沸き肉躍る、正統派の冒険ものを少年少女は読みたいですよね。
「ロードス島戦記」なんかも本編はまったく知らなくとも、坂本真綾さんの唄う曲が素晴らしいです。そういうレガシーになるものが、昔のラノベにはあった。
かといって、ジャンルの最下層に☆もろくになく沈んでいる、しっかり設定を立てて書かれた重厚な本格長編ファンタジー・ロマンを出版してみたとしても、これも売れないんじゃないかな。
よほど幸運なバズりかたをしない限り。
超人気イラストレーターさんの画を表紙にもってくるとかしたら、少しは売れ行きは上がるでしょうけれど。
一方で、女性が書く女性向けのド定番、「イケメンの御曹司に溺愛されて」系は、小粒ながら、常に安定した高い需要をチャラチャラと誇っております。
溺愛シンデレラ・ストーリーというのは女性には不動の人気で、恋愛ラノベにおいてもweb漫画においても万年首位。
「源氏物語」からしてそうなので、この路線は未来永劫、消えることはない。
わたしが十代の頃からこれ系は回し読みされていました。
「平凡な女の子が文武両道のイケメンに溺愛されて~」ってやつです。
こういうもののせいでドリーマーになったら問題ですが、99%の女性は罪のない夢物語としてほわほわとトキメキながら愛好しているだけなので、放置しておいてあげて下さい。
らんたさんの創作評論、こちらも面白かったです。
●「WEB公募はお祭り感覚、宝くじ感覚で参加せよ」
https://kakuyomu.jp/works/16817330651776579981