今月に新規登録されたなかなか立派なご経歴の方(二つの賞の大賞受賞者さん)が星一桁台なのをハラハラしながら見つつ、その方の眼にとまればいいなと思って書きます。
カクヨムは特殊なところで、「相互の読み合い」がないと浮上しないし、「相互の読み合い」が出来るとどんな作品であろうと番付の一枚目に飛び込むことが出来るのです(人気作は除く)
そのあたりのことは拙作エッセイ「星の数【0~9】の人々を愛おしむ」にも書いてます。
どなたかの近況ノートで、
「こちらがいくら星をつけてもまったく相手からはお返しがない。そんな人間は恩知らずだ」
と憤慨している記述を眼にして、「ひええそんなサイトなのか」とビビった一件もすでに懐かしいのですが、
それによって、
「この投稿サイトは、作品の質ではなく、相互の読み合いと交流力によって作品の順位がけっこう決まるところなのだな」
と覚悟するきっかけにはなりました。とにかく「書く」人の方が「読む」人より多いのでそうなっちゃう。
読み合い読み合い、といっても、本当に読んでいたらいいのですが、実情といえば相手の作品を読んでもいない。
そんな人たちがさくさくと星を贈り合って圧倒的に有利に転ぶ。
そんな中、お外の何かの賞の受賞者さんや、孤高タイプの巧い人って、この評価のばらまきローラー作戦に躊躇することが多いみたいで、かなり沈むんですよね。
『交流の数=星の数』
そう云われているくらい、ローラー作戦派が圧勝してしまう。
これは何もやたらとこすいことをやっているという意味ではなくて、ご性格的に、「まめで、義理堅く、気さくで、アグレッシブ」であるとカクヨムではてき面に成績がアップするのです。
営業力込みの、そういう仕組みになっている。
そんな方々の全員が、いい加減な気持ちで執筆しているなどとは口が裂けても云いませんし、誰もが書くことが好きで、小説が好きで、のたうち回りながら必死で書いていることには変わりないのです。
ただそこにプラスして、ちょっとした交流スキルがあれば、わりと簡単に上昇気流に乗れてしまうよというだけのことです。
これが外部の賞ともなれば話は別で、カクヨムでは一切相手にされていない無名の最下層からも受賞者が出ます。
まったく星のないような一桁台からも、ぽーんと受賞者が出現する。
これは当たり前のことなんです。
交流ガ―! なんていうのは作品の中身ではなく交流力で全てを決めている人が云いたがることで、物書きには『内に籠る』こともすごくすごく大切だから。
他者との交流は、その余力で楽しくやればいいことで、毎日眼をギラギラさせて必死でやるようなものじゃない。
わたしは決して人脈や交流を軽視しませんし、日頃からその恩恵にさずかっている立場ではありますが、それがあることで、白のものでも黒と云わなければいけないとか、誰かの号令で誰かを無視する流れとかには、属しているほうが悪影響なので遠ざかります。
カクヨムと付き合うには、自分のスタンスをしっかり固めることが必要で、交流交流と張り切ったところで肝心の小説が疎かであれば「交流票で稼いでいる」と見做されるだけだし、いくら星を送っても相手はシーンとして未来永劫、無反応ということだって多々あります。
それでも「この作品は素晴らしいな」と思えば星を送ればいいし、やる気と元気の素のお付き合い票だって大切だし、何百個も星を送られようが返礼としての星は送りたくないと決めたのならば、それを貫けばいい。
例外的にカクヨムコンだけは得票数が伸びないと最初の選考に残れないので、ちょっとだけ主旨変更して営業頑張ったほうがいいですよ~、ですが。
「こちらがいくら星をつけてもまったく相手からはお返しがない。そんな人間は恩知らずだ」
これと同時にわたしが初期に眼にしたものに、
「だいたい交流先は六人が限度」
というコメントがあり、これにも、「実感として確かにそうだなぁ」と深く頷けるものがありました。
読んでもいないのにぽいぽい星を配ってる人はしりませんけど、自分も作品を書いているのに、他人の作品を読むとなれば、全員なんか無理な話で、だいたいは六人程度におさまるんじゃなかろうかと。
※この六人は固定ではなく、その都度、流動的に入れ替わります。
そんなことはない、あの人やあの人は、交流大好きで大勢の人と楽しくやっておりその上で書く作品も群を抜いて素晴らしく、公開する作品は片っ端から三桁四桁に乗っているではないかと反論されるかもしれませんが、そんな人は「書き手の中では珍しいタイプ」なのであって、こと小説書きにおいては、全員に要求していいものではないでしょう。
お手振りアイドルではないのです。
愛想よし性格よし実力よしと三拍子揃っていれば申し分ありませんが、「レア」です。
交流力とその作品の真価には、残酷なほどに何の関係もありません。
星の数と作品の質に落差がある人を、上位にも下位にも大量に見出すのですが、現状のカクヨムコンでは、全体の七割にも達せんとする星一桁台の人を救済する道がないんですよね。
スタートダッシュで番付一枚目にとにかく載りましょうというのが推奨されており、スタートダッシュをするためには、日頃から大勢の人と交流している人が絶対的に有利ですよということになってしまっています。
まあ、そういうコンテストなのです。
良いも悪いもありません。
ついでに「では少し営業を……」と自主企画に登録しても、あそこで取り交わされる企画参加者の星はカウントされないので、見た目の星の数は十分あっても企画に参加していない人から頂く星の数が最低ラインに足りてないと足切りに遭うので注意です。
昨年度これに引っかかり落ちました。
わたし自身は意志薄弱なので、交流楽しい~♪ とかなりゆるくいい加減にやっておりますが、それだけに、たまに星一桁層にぎょっとするほどの巧者を見つけては、「そりゃいい作品を書くはずだよ」と内心で賛辞を送っております。
文芸路線を独立させたら、今まで沈んでいた方々にも光があたるかもしれませんね。
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◆カクヨムコン参加作品◆
・現代ドラマ「野のあかり」
https://kakuyomu.jp/works/16818093088150880869・ホラー「六組の廊下(拡大版)」
https://kakuyomu.jp/works/16818093089638308607(中)と(下)が書き下ろしです。わたしの中ではお子さま向けホラーなのですが、怖さの度数的にはどうなんだろう。
・現代ドラマ「美しい赤」
https://kakuyomu.jp/works/16818093091143262802公式企画のお題「雪」に合わせた書き下ろし。
「六組の廊下」で打ち止めと考えていましたが、こんなおどろおどしいものを一面に出して新年を迎えるのはどうなの、と考えなおして別の一作を出してます。お題ものは複数の条件がある方が書きやすいんですよ~、ということをお題企画者さんが以前おっしゃっておられて、それは本当で、こう、漠然とポンと単語を与えられるのって、どうにでもなるので、かえって迷うんですよね~。