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今日もPVゼロだった

 今日もPVゼロだったと嘆く方のノートを先週、拝見しました。
 「わたしもです♡」と駆け寄ろうとしたのですが殴られそうなので止めました。暗黒落ちしかかっておられたし。

 当たり前だと思うのですよ。PVゼロ。
 図書館とか大型書店を思い浮べると分かるじゃないですか。あの大量の書物の、棚のいちばん上とか下とか端っことか目立たないところにある無名の本なんて、一年経とうが五年経とうが、開く人なんかいます?

 たまに端から全部ひらいてみる人はいるかも知れませんが、それとても、その方の好みに刺さるかどうかは分かりません。

 ベストセラーや話題の本や平積みなら手にしてもらえる確率が高くなりますが、そこから零れ落ちた書き手が出来ることといえば、企画にこまめにエントリするとか、自分の大好きな小説を書き続けるとか、闇落ちする前に別の趣味に打ち込んでみるとか、しばらくは読み専になるとか、そんな感じではないでしょうか。
 承認欲求との付き合い方が問題なのかもしれません。
 わたしは「PV機能はおまけ」と想っています。
 別のサイトにもはっきりそう書いてあったんです。「気にしてもろくなことはない」と。
 ランキング入りしないその他大勢の書き手にとっての真理です。ろくなことはない。

 これは全く気にしないという意味ではなくて、特にカクヨムさんはどうしても眼に入る仕様になっているので強制的に眼にしてしまうのですが、それを見て落ち込むようなら、ここは今一度、自分の胸にきくわけです。
「お前はPVのために書いているのか」と。

 PVのために書いているんだ! という方はランキング入りする作風を研究してそちらに寄せたらいいのであって、そうでないのなら「PVはおまけ」と想って、自分の好きな小説を書くのが一番いいのではないでしょうか。
 急がば回れです。
 そうやって自分の好きなものを書いているうちに、1000人にひとりくらいは「これ好みです!」という方が出て来てくれるかもしれない。
 少ねえわ。
 少ねえし待てねえわ。
 という方は、また自問するのです。


「読者が欲しいから書いているのか」
or
「小説を書くのが好きだから書いているのか」


 というかPVは更新回数の頻度にも左右されるので、どうせ気にするのなら星やハートの数の方がいいような気がしましたが、
「今日もPVがゼロだった」
 という方は更新を休んでいるわけでもないのに、そもそも誰にも読んでもらえていないのです。
 丹精こめた上質の和菓子を用意しているのに近所の大型複合施設に客を吸い上げられてしまい誰も客が来ない寂れた商店街の店先で、「今日もお客さん来ないですねぇ」「昔はじいさんばあさんが饅頭くらいは買いに来てくれたが同級生のあいつらはみんな死んじまったしな」「こんなものはもう古臭いといって孫も食べずに捨てますしねえ」なんて寄り添っている年老いた和菓子屋夫婦の姿がたちまち脳裏をよぎり、「か、買ってやれよ……!」と涙が眼に滲むような気がしてきました。
 この一文のインパクトって、なんかそんな感じ。
 ある意味、どんな小説よりも胸に響く。
 一日中、頭から離れません。


「今日もPVがゼロだった」


 この方は毎日、ノートにこれだけを書いたらいいんじゃないかな……? 登録者の多くがこれですから、共感性もばっちりです。



 大型書店を思い浮べる時、読んで下さる方の存在というのは書き手にとっては、✨奇跡✨でしかありません。
 ♡や☆やレビューを入れて下さる方には、いつも励まされております。とても嬉しいです。ありがとうございます!!
 読者というのはそれだけで勝手に徳を積まれているのです。どうか徳を積まれた皆々様にもこの週末、良いことがありますように。

6件のコメント

  • 実際、たとえPVが増えたとしても次はハートや星が、その次はランキングが、そして公募の結果が、さらに例えデビュー出来たとしても本の売れ行きが……と気にし出したらキリが無いんですよね。
    でも分かっててもつい見ちゃうのが人間なんですよね……
  •  猫目孔雀さん、いつもありがとうございます。

     私も、もうちょっと読者を増やす努力をしないとなぁと思いながら書く方に97%偏っているせいで今に至っているわけですが、カクヨムさんは問答無用でPVだのいろいろ眼に入ってくるので最初びっくりしました。
     一週間に一度なにか頂けたら御の字だと思っておくくらいが丁度いいのかも知れません。過疎ってると新鮮な気持ちでいつも嬉しいし……♡

     作家を本業にしてしまったら、今度こそキツそうな気がします。部数や印税というかたちで闇落ちしそうです。病むのはその時に取っておこうと逆手にとって、公募に奮い立つのもありかもしれません笑
  • 朝吹様

    おはようございます。
    今朝カクヨムを開いたら……
    朝吹様からのフォローのお知らせが入っていたので慌てました。
    そういえば数日前、
    朝吹様のこの近況ノートを拝見し、御作に伺って足跡を残していたのでした。素晴らしい作品の数々にコメントもせずに申し訳ございませんでした。当方、読み専ですのでお気遣いなきように。
    おもしろい! と思った作品には容赦なく(?) ♡応援、☆excellent‼!を惜しみません。
    朝吹様のエッセイ『折り紙の秋』、『読み専の神さま』、『「あなたは作家になれます」』、詩『バイクとハート』を読ませていただきました。
    全てが心に刺さりました。
    ありがとうございました。
    これからも、朝吹様の御作を読ませていただけたら幸いです。
  • ブロッコリーを食べましたさま、こんにちは。

     おお希少価値の読み専さまですね。
     ランキング上位には大勢いるのに、下位ではもはやツチノコなみに幻の存在といわれている読み専さんにお会いできて嬉しいです!

     私は作風の振れ幅が大きめなので、「これ書いてこれ書いてるんですか?」と想われそうなのですが、得意は実はダークファンタジーです。
     他ジャンルにも手を出していろいろ書いておりますので、お気に召すものがありましたら幸いです。
     立ち寄って下さって、こちらこそありがたいです。コメントなど不要ですし読み捨ても全然OKです。
     フォローは『読者からの反応』にお名前が出た人を片っ端からフォローさせてもらっております。こちらこそ驚かせてしまいすみませんでした。
     こちらこそよろしくお願いします。
  • こんにちは。
    このノートを見て、とあるエピソードを思い出しました。

    少し前の話で、SNSでの商売の成功例として挙げられる話です。

    寂れたカレー屋さんの外国人店主がツィッターで「きょうもおきゃさんこなかった」と書き込んだら、お客がドッと来て、今も繁盛しているとのこと。

    もともとフォローしていた人もゼロに近かったのに、なぜそんなことが起きたのか。色々と分析されていますが、私個人は、その店の店名と、それに込められた店主の心根が、ただ功をなしたのだ、と考えています。

    その店の名は「だいすき日本」、と言います。
  • オチのあるショートショートみたいなお話ですね笑

    寂れたカレー屋で、カタコトの日本語で、店名が「だいすき日本」なら、行くしかないです。

    炎上商法とはまた違うのでしょうが、「助けて下さい!大量キャンセルが出ました」系を告知して、それが拡散されることで完売するというのも、すっかり定着しています。日本人のよいところ。

    出荷前のチューリップの球根を納めていたパレットが倒れてしまい、どれがどの色の球根か分からなくなったものを、「出荷できなくなったので、どんな色のチューリップかは咲くまでのお楽しみでよろしければ」とまとめ売りした一件は好きでした。
    春になるとその画像が次々とあがり、黄色一色だけとか、赤と黄色が混在していたりとか、楽しかったです。

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