実験小説とは「前衛的な手法を用い、文学の可能性を実験的に追求しようとする小説の総称」のことを指す。
代表的なものは、筒井 康隆著の「残像に口紅を」だろうか。五十音が消え、その音を持つものも消えてしまう。「あ」が消えれば、「あなた」も「愛」も消える。
それでも、残された音を用いて物語は紡がれる――その発想と語彙力、表現力の高さに感服する他ない。
それを真似て実験小説を作ろうと思い立つわけだが、残念なことに自分の頭に浮かんでいる小説の姿とは、単なる「実験」「試み」でしかない。分かりやすく言えば「一発ネタ」の域を出ていないのだ。
――実験小説は難しい。まっとうな小説(物語)を書くことすら厳しいのに、更にそこに「芸術」を組み合わせなければならない。
芸術にはセンスがつきものだし、独りよがりになる危険性を孕んでいる。
だからタグに「実験小説」と付いていても、それは本来の意味での実験小説と期待してはいけない。
この予防線を張りたいがために、上記の文章は存在している。