未熟な書き手の多くは道半ばの者だが、一部に未熟を個性と勘違いして道を外れる者もいる。
例えば文章表現が未熟な場合、稚拙な文章を「作品の個性」と捉え、それを「上手な文章に変えると雰囲気が壊れる」と主張する。
さらにその証左とばかりに、その辺に転がっているなろう系ラノベを引っ張り出して来て、手直し後の文章と並べて比較したりする。
で、結果を見せながら「ほら、こんなにイメージ変わるでしょ?」としたり顔で偉ぶるわけだ。
並みの思考力の持ち主なら、もうお気付きのはず。この試行、着眼点は悪くないものの、やり方に致命的な欠陥がある。
では、欠陥とは何か?
まず第一に「比較に使われる作品が俺様系一人称」であること。この場合、手直しの結果出てくるのは、語り口が「お堅い話し言葉」もしくは「違うキャラ」に変わっただけの類似品。語り手が違えばイメージが変わるのは当然で、残念ながら文章の上手い下手の比較にはならない。
第二に、仮に三人称の作品を用いたとしても、「肝心の文章の手直しする者の腕前がイマイチ」であること。冒頭のような主張をする書き手は大抵、文章の上手さを「普段使わない玄人っぽい単語(例えば邂逅や僥倖など)を使うこと」程度に舐めきっている。よって彼らが行う手直しは、単なる「単語の入れ替え」程度の幼稚なレベル。優れた腕前の書き手も唸るような情緒豊かな文章など、書けるはずもない。結果、下手と下手の比較にしかならないというわけだ。ようするに、上手な人が下手なふりはできても、逆は無理ということ。これはスポーツや芸術など、あらゆる分野に共通する話と言える。
よって、こういった試みをちゃんとやるなら、文芸寄りの優れた表現力を持つ書き手が実行するしかないわけだが、作者に断りなく勝手に著作物を書き直すわけにはいかないし、許可なくサイト上に掲載するわけにもいかない。何より、ストイックに執筆に励む彼らには、そんな酔狂に付き合う暇などないのだ。
というか、そもそも作品の雰囲気や個性というのは、シーンごとの描写やキャラの言動などの積み重ねによって作り出されるものなのだから、それを描き出す技能が優れていなければ本当の意味での個性は生まれないわけで。未熟な筆致を個性と言い張り、猿真似でこしらえたハリボテの中に逃げ続けている限り、真に個性的な作品を作り上げることはできないだろう。
というわけで、この企画では「ハリボテの模倣品じゃない唯一無二の雰囲気と個性を持つ作品」を募集する。読み合いではないので、読む読まないは各自の自由。物語であればジャンルは問わない。
参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「ハリボテの模倣品じゃない唯一無二の雰囲気と個性を持つ作品」を選択してください。
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