「記憶を売る」を含む小説

私の住んでいる第6地区では、記憶の売買が行われている。 成人した私はこの地区を離れる際に、母親との記憶を売ることにした。 記憶屋の店主から帰りに、サービスだと受け取ったのは、他人…

　この世には、奇妙な薬があるらしい。 　森に住む妖精が、時折人里に降りて渡してくれるその薬は、瓶入りの「記憶」。 　それを飲めば、致死量になるほどの享楽を味わえるという。 　　…

売った記憶は二度と思い出すことができない。 売る際には身分証明書もいらないし、その場ですぐにお金を受け取れる。不思議なことになくなった記憶に関わっている人たちからも、その記憶や体…

「記憶は、記憶はいりませんか」 「その記憶は大事に取っておきなさい。記憶は、その人自身なのだから」 これは、記憶を売る少女と記憶を買う男の話。 それは、心温まることのない、暗く…

　冴えない青年の中村はある日、同僚から記憶を売れる店があると耳にする。 　言われた住所に半信半疑で足を運んでみると、一人の美しい女性が現れ、こう言ったのだった。 「中村様、記憶…

記憶の移植、人から人への記憶の移動ができるようになった日本。如月直人は、非合法な『記憶移植業』を営んでいた。 そんなある日、『猫を飼った記憶が欲しい』という客がやってきて……。 …