「和傘」を含む小説

ギターをこよなく愛する私、吉野仄（ほのか）は、新学期早々変な生徒、水野結衣の隣の席を引き当てる。 結衣はなぜだか一本の"和傘"に異常に執心しており、あろうことか所構わず常日頃持…

月が照らす町に、一人の女性が立っていた。 彼女の名は道標静香（どうひょうしずか）。肩より短い黒髪に、黒い瞳。釣り目で普段から無表情の彼女は、誰の目にも姿は映らない。 赤主体の着物…

緩やかな流れの水の上を小さな舟に乗って進んでいく。 真っ赤な和傘が目印となり、通りかかった人々は足を止める。 美しい新たな門出。

　気が小さくなんでも不安に感じてしまう細井風花は、ある日同級生で同じ図書委員の北条草介に、彼の家で営まれている喫茶アンティコに誘われる。ここで働く古館ゲンに古い和傘を託される。 …

喫茶店のマスターは、かつて突然の夕立に怪しいお屋敷に招き入れられたことがありました。そこで出会った女は……。

「和傘はな、持ち主を雨や紫外線から守るだけじゃなくその人本来の魅力に華と奥行きを与えるもんなんじゃよ」 　先代の口癖の一つだ。 「和傘作りには、その人の生き方の全てが集約されてい…

　大学生の三島恵子は、雨の日、背後に付いてくる気配に悩んでいた。 　恵子の住む町には、『雨魔』と呼ばれる雨の降り続ける日にのみ起こる怪奇現象の都市伝説があった。 　次第に濃くなる…